株主総会では世論のバックアップが重要

取締役会以上に大きな権限があるのは株主総会。ここでは代表取締役の「代表」を解職するだけでなく、「取締役」を解任することができる。

大塚家具でもロッテでも株主総会で雌雄が決せられた。そこでは51%以上の株式を握るために鎬が削られ、委任状の争奪戦や株主総会での支持を求めるさまざまな戦略が展開される。大塚家具の株主総会ではメガバンクや機関投資家の最終的な決断が雌雄を分かつ分水嶺となり、ロッテは社員持ち株会社の決断が勝敗を決めた。

大手メガバンク関係者がいう。

「メインバンクや投資ファンドなどの機関投資家は、基本的には経営陣を支持しているのです。ただ、経営陣に問題があった場合には、反対票を投じることはありますが、基本的には経営陣が有利な立場にあるといえると思います」

そのような中でクーデターを起こした側はどう対応すればいいのか。

「きちんとした理論武装をする必要がある。そして何よりも大義名分です。機関投資家は大義名分を見ています。世論が支持するなら、そちらに動くという要素がありますから、そこで改革と私憤を区別しなければならないわけです。改革にも大義名分があって、それを広報的に世間に公表していって、世論のバックアップを得て、株主から委任状を集め、機関投資家もその流れを尊重していくというのが、もっともオーソドックスな改革です。全体的、巨視的、マクロ的な構図があって改革をやっていく心構えが必要です。世論があって、株主総会があって、取締役会があって社長がいるという構図があることを理解して、改革をやっていくという心構えが必要です。気がはやって連判状を持って社長室に乗り込み、声明文を読み上げて社長に退陣を迫るというケースは非常に少ないのですが、これは避けた方がいいと思います」(中島弁護士)

しかし経営権をとっても最終的に会社の業績が悪化しては何もならない。クーデターは経営権をとれたかどうかではなく、その会社が本当によくなったかどうか、企業価値が上がったのかが大きなカギを握る。

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