ロボットが接客する「スマートホテル」とは
2015年7月、ハウステンボスにロボットが接客する「スマートホテル」が開業。全144室(このうち72室は16年開業)に対して人間のスタッフは10人前後で、ポーターや清掃はロボットが行う。ルームキーはなく、部屋には顔認証システムで出入りする。人件費や光熱費の効率化を図り、「世界一生産性の高いホテル」を目指すという。
【弘兼】フロントは無人で、ロボットが接客するホテル。斬新ですね。
【澤田】計画を立てたのは2年ほど前。ロボットを使ったホテルを造ろうとしたのではなく、世界一生産性の高いホテルを造ろうと思ったのです。変わり続けるホテルという意味で「変なホテル」と名付けました。接客だけでなく、コンテナ型の建物を採用することで、建設コストも抑えています。園内のホテルはテスト段階。このビジネスモデルを各地に広げたいと考えています。
【弘兼】ホテルで働くロボットも自社で開発されているのですか?
【澤田】そうです。ロボットメーカーと協力して開発しています。話題のドローンの研究もしているんですよ。
【弘兼】あの空を飛ぶロボット?
【澤田】ここはモナコ公国と同じぐらいの広さのある私有地なんです。だからドローンも自由に飛ばせる。僕は運転免許を持っていませんが、敷地内では電気自動車に乗っています。いろいろな実験が自由にできる。植物工場の実験も進めています。
【弘兼】「農業」は間違いなく、これからの成長産業のひとつですよね。以前、オランダで最新の植物工場を見学しましたが、コンピュータ制御されたガラス温室での収穫量は、露地栽培とは比較になりません。
【澤田】そうですね。将来的には、ドローンで発育状況の確認や果実の収穫もできるようになると思います。いまはまだ構想段階ですが、ここなら世界一の生産性の高い植物工場が実現できると思いますよ。
【弘兼】15年5月には、スマートホテルと同時期に、「健康」をテーマにしたレストランも開業したそうですね。小型の植物工場で作った野菜を提供するとうかがいました。実験が着々と進んでいるというわけですね。
【澤田】ここにはホテル、レストラン、店舗、住宅など都市機能のほとんどが揃っているんです。だからおもしろい。ここが「石炭」ではなく、「ダイヤモンド」だと思うようになったのも、その価値に気付いたからなんです。どうして、こんなに素晴らしいところに誰も手を出さなかったのか。いまではそんなふうに思っているんですよ。