そう……。なぜ中国人はこれほど日本で爆買いするのか? そして、それは一過性のブームなのか。あるいはまだまだ続くものなのか。
多くの日本人が気にかけていることかもしれない。それほどまでに日本にもたらした経済効果は大きかったからである。
私はこの夏、日本で巻き起こっている「爆買い」現象を追い求めて、各地を取材して歩いた。最初のうちは、観光地で中国人を迎え入れる観光施設や観光関係者などに取材し、現場ではどんなことが起こっているのかについて取材していたが、だんだんと興味は「爆買い」後どうなるのか、に移っていった。
取材すればするほど、「爆買い」のその後、が気になり始めたからである。
今後も来日して日本にお金を落としてくれるのか、くれないのか。一度買い物に来たら、もう日本には来なくなるのか、まだ引き続き日本に関心を持ち続けてくれるのか、否か――。
私の疑問や関心は、結果的に多くの日本人の関心や興味ともダブることになるのだが、実際に取材してみると、悩みや不安、とまどいが次々と聞こえてきた。
それほどまでに中国人の爆買いは「黒船」のように突如訪れた現象であり、日本人にとってショッキングな出来事だったといえるだろう。
だが、一方で「その後」にかける期待や意気込みもあった。団体ツアーから個人旅行に移行していく中国人を当て込んで、富裕層向けのサービスや、SNSを活用して、他社に先駆けて特別なおもてなしを仕込む企業もあった。
取材の過程で、私は来日する中国人の声も拾うように心がけた。当事者の片方である日本人だけの取材では不十分、アンバランスだと思ったからである。中国人はなぜ日本に来るのか、日本旅行をどう思っているのか――などだ。
数多くの日本人と中国人両方の意見を聞いてみた結果、これらの声を書籍としてまとめることで日本人に多くの示唆を与えることができるのではないかと考えた。そして結実したのが本書である。後編で、その内容を少しご紹介しよう。
※後編(12月21日公開予定)に続く