一方、東日本大震災以降、電力供給の約9割を支えている火力についてはどうか。時々刻々と変動する需要に追従することが可能といった供給安定面での強みがある。加えて、経済性に優れたベースロード電源である石炭火力や比較的CO2の排出量が少なく追従性に優れたLNG火力、そして燃料貯蔵が容易で緊急時のバックアップ対応のための石油火力とそれぞれの発電方法に強みがあるため、各発電方法をバランスよく組み合わせること(石炭:26%、LNG:27%、石油:3%)が鍵となるが、化石燃料を燃やして発電するため、どうしてもCO2が排出されてしまう。

ベースロード電源として原発が必要な理由

残るは、コストの抑制とCO2の削減に寄与する電源として、エネルギー基本計画で重要なベースロード電源と位置付けられた原子力発電だ。9月10日には、九州電力川内原子力発電所1号機が営業運転に入り、2号機も10月中旬に再稼働となる見通しだ。このままでは20~22%の水準にはほど遠いというのが偽らざるところだが、S+3Eの達成に向けて、杉山氏は「安全を大前提に、地元の理解を得た上での話になるが、コスト面そしてCO2を排出しない環境面においても有力な手段として原子力は必要」と改めて強調する。

また、同氏は「CO2の26%削減達成に向けては、省エネルギー対策やエネルギーミックス、どれ1つをとっても簡単ではない。しかも、2030年の目標はあくまで“1つの通過点”にすぎない」と語っている。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)のサイクルを回していくことが必須であるが、当然、難しい舵取りが求められるだろう。

いずれにしても、将来の技術革新、国際的な燃料価格の変動といった環境変化に柔軟に対応し、国として目標達成に向かって進んでいかなければならない。しかも、地球温暖化問題の解決は、日本だけでできることではない。世界全体が一致協力すべき国際課題である。そのためにも、日本がロールモデルとなるようなエネルギー計画がいま求められている。

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