使わないものに払う土地代
筆者が講演などで、「家に黒のボールペンが何本あるか分かる人いますか?」と聴き手に尋ねて、過去に答えられた人はいません。黒のボールペンを家族で同時に使うこともあまりないでしょうから、極論を言ってしまえば、一家に1本あれば充分なはずです。多少緩めて、いくつかの使いやすい場所に分散して置いておいても、10本も必要ないでしょう。
ボールペンは極端な例ですが、人が使う物の量というのは限度があるのです。だから自ずと必要な物の数も決まってきます。しかし今のほとんどの家庭で、それ以上の物が家の中にあるはずです。ボールペンなんて、コンビニで少し良さそうなものを発見したら買ってしまう人もいるでしょう。
「これ安かったから買ってきた」として、実は必要でないものにわざわざお金を使ってしまっていることが多いのです。そして土地が高い日本において、それらを収納するための場所にお金がかかっていることになります。
先日テレビ番組のロケでうかがったお宅の奥様は、「わたし、捨てるの得意なんです」と言いながら、着ていない洋服をたくさん出してきてくれました。きっと、「整理しようとやりはじめたら」、捨てるのが得意なんでしょうね……。そこでアドバイザーとして私が返した言葉は、「それだけ無駄なものに土地代を払っていたことと、何よりも着ないものにお金を払って買っていたことをしっかり認識してください」です。
3万円の服も20回着れば1回1500円ですが、3000円で買った服を1回しか着ていなければ3000円です。
お金のことを話すとき、コストパフォマンスという単語はよく使われますが、買ったあとにコストパフォマンスを良くする使い方をすることが一番節約になるわけです。人にとって着られる服の数にも限界があります。買ったあとにコストパフォマンスが良くなる服ばかりを買うようにしていけば、結果的に新たに買う服の数も減ってきます。
本当に自分が必要なものだけを買っていくようにすれば、高いものを買ったとしても結果的に節約になるのです。
目先の金額ばかりに気を取られずに、自分にとって何が必要なのかを見極める力をつけ、必要なものだけに支出するような生活になれば、それは今よりもずっと節約になっています。
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