【3】1回の会議は10分、回数も少ないです

大富豪の時間術が最も端的に表れるのが“10分会議”です。会議は討議するための場ではなく、すでに出た結論を承認する場だと考えています。

出席者が何か提案する場合、10分しかなければ相当な準備が必要です。充分にリサーチし、資料づくりもプレゼンの組み立ても完璧にします。関係者への根回しも欠かしません。ほかの出席者も、事前に資料をしっかり読み込んできます。全員の準備が徹底されてこそ“10分会議”は可能になるのです。

大富豪が狙っているのは、緊張感があって質の高い会議です。

「役員の給料を払っているのは僕だからね。彼らの時給が1万円だとして、10人の役員が2時間も3時間も会議に費やすといくらになるか。ムダな会議はやりたくないよ」

そう説明してくれた大富豪の方もいます。

会社を4つ、5つ経営していると、週1回の会議でも大富豪には負担です。なかには年1回の役員会にしか出席しないと決めているビジネス・オーナーもいます。会議は10分以内、回数はできるだけ少なく、と考えて当然でしょう。

【4】30年後をお考えになっています

現在は“変化の激しい時代”といわれます。5年先、10年先は想像もつかないというのは、ビジネスの世界では常識のようです。

ところが、大富豪の方々はいつも20年後、30年後のことばかり考えておられます。あるお客様は、次の東京オリンピックに備えて競技場周辺の土地を所有されていますが、お買い上げになったのは2000年前後だそうです。「東京でまたオリンピックを開催しようという動きがあるようだ」と聞けば、すぐさま手を打つのが大富豪です。

年商100億円ほどの会社を経営しているお客様は、「30年後には世界の主要都市に当社の拠点が展開されているよ」と、未来の拠点をマークした世界地図を開いて説明してくれます。現在はまだ海外拠点が1つもないのに、青写真は持っているのです。

別のお客様は、SF小説みたいなことを話されます。「未来の人間は家から一歩も出ないかもなぁ」と言われたときは、返事に困りました。

「名経営者は自分が会社を去ったあとに備えて事業のタネを蒔く」といわれます。遠い未来に目を向けているのです。