なぜ生産の仕事でも経理の仕事を知るべきなのか
【竹内】最近、ファーストリテイリングでは、スタッフの正社員化、若手の抜擢など次々と新しい方針を打ち出されています。日本人の持つ強みに加えて、今後どんなことを社員に身につけてほしいと期待していますか。
【柳井】グラットンさんがこれからの仕事はあまりスキルが要求されないシンプルな仕事と高度で複雑なスキルが要求される仕事に分かれていくだろうと先ほど言われましたが、複雑な仕事をできるように個々人が学習していかなければいけないと思っています。当社に販売員で入っても、何年間かその仕事を続けたら店長代理や店長になる、あるいは本社の幹部になっていけるような働き方をしてもらいたい。それが結果的な終身雇用につながると思います。
そのためには毎日勉強を積み重ねていく必要がある。勉強と仕事がイコールになるような会社にしたいと思っています。勉強したいと思う源泉は、新しいもの、珍しいもの、自分とは違うものに対する好奇心です。
その中で管理職の皆さんに言いたいのは、1つの分野のことだけではなく「全部」知ることです。たとえば生産の仕事をしている人も、経理の仕事を知る。経理の仕事をしていたら情報システムの仕事も知ろうとする。あるいは誰がどこでどんな仕事をしているのか、世界中の会社全体の動きを知る。そのためにはインターネットを使い、あるいは現地に飛んで一緒に仕事をすることも大事です。
互いに仕事をより深く知ることによって信頼感と連帯感が生まれてくると思います。
※本稿は2014年6月17日にファーストリテイリンググループ社内で行われた対談を編集部の責任において要約・再構成しました。