――子供たちには、早くから自らの将来像を描いてほしいと。
ナガセ社長 永瀬昭幸氏「本物を与える」ことが学びのモチベーションになる

【永瀬】具体的な職種まで決め込まなくても、海外で働きたい、人の役に立ちたい、ものづくりをしたい、といった夢の方向はあったほうがいい。それが学びのモチベーションになる。そのためには、早いうちに「本物を与える」ことです。たとえば、その道のプロフェッショナルの話を聞くことですね。東進では、日本を代表する大学教授陣が一堂に会す「大学学部研究会」や、若手研究者に贈る「永瀬賞」受賞者による「サイエンスセミナー」、また「トップリーダーと学ぶワークショップ」では、これまでに竹中平蔵先生、黒川清先生、片岡一則先生にご登壇いただくなど、高校生諸君に大きな刺激を与えるイベントを次々と開催しています。また四谷大塚では、「全国統一小学生テスト」で発掘した優秀な子供を、米国に招待しています。ハーバード大などで研究を行っている先生方と直接話ができた子供たちは、自分の将来を強くイメージし、目を輝かせて帰ってきますよ。

――公教育の現場も含め、そうした引き合わせがもっと増えれば素晴らしいですね。

【永瀬】とくに、研究職などに就いている優秀な理系人材が、専門分野の魅力を伝えてあげるといい。高分子化学や生命工学といった分野では、日本の技術力は世界でもトップクラスです。そうした分野にクリエーティブな力を持った若者を呼び寄せられれば、さらに世界を牽引していけるようになるでしょう。そのために、我々のような民間企業もできる限りの支援をするので、ぜひ国にも主体的に次世代リーダーの育成を行ってもらいたい。私の提言が、国民全体で人口問題や教育について考えるきっかけとなり、この国の未来のための思い切った政策につながれば幸いです。

ナガセ社長 永瀬昭幸
鹿児島県出身。東京大学経済学部在学中から自宅アパートで塾を開く。1974年卒業後、野村証券入社。76年ナガセ設立。東進ハイスクールや東進衛星予備校などを全国に展開し、塾、予備校業界を牽引する。
(尾関友詩=構成 的野弘路=撮影)
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