物流再編で存在感示す会社
物流業界はいま、大変革期にあり、合従連衡が進む。スマートフォンやタブレット端末などバーチャルの「ショールーム」から、あらゆる商品が注文できるようになり、しかも素早く低コストで顧客に届けなければならなくなったことが要因だ。アマゾンや楽天の利便性を陰で支えているのが、物流業界と言える。
異業種間の提携も進み、たとえば、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、大和ハウス工業と提携し、インターネット通信販売に対応した即日配送のための大型物流センターを2016年に稼働させる。こうした動きが加速し、現在約11兆円ある日本のインターネット通販の売上高は近い将来には倍増すると見られている。
一方で、メーカーがコアビジネスに経営資源を集中させる流れも加速、2014年にはパナソニックロジスティクスが日本通運に買収されている。
この業界再編期に「台風の目」として存在感を示しているのがSBSホールディングスだ。創業社長の鎌田正彦氏は1979年に宮崎県立延岡高校を卒業後、佐川急便に運転手として入社。8年間勤務した後に裸一貫で独立、87年に関東即配(現SBSホールディングス)を起業した。倒産の危機などを乗り越え、2003年にジャスダックに上場した。それ以来、瞬く間に26社を買収した。ジャスダック上場時に194億円だった売上高は、今や1415億円(14年12月期決算)にまで成長、2000億円も視野に入る。
SBSが業界で注目されるようになったのは、04年に雪印乳業の子会社である雪印物流、05年に東急電鉄系の東急ロジスティックを立て続けに買収した頃からだ。新興勢力が名門を呑み込んだことで鎌田氏の経営手腕に注目が集まった。鎌田氏は買収した会社のリストラをしない方針のため、雇用維持を大義名分に掲げる大企業は「売却先」としてSBSを選ぶ傾向にある。