パソコンを前にグズグズ、ダラダラ。ついつい寝坊、深酒……。そんなグズの思考回路を、脳科学者が解明。積年の悪弊を取り除くヒントは、自分の頭の中にあった!

接待を兼ねた会食で盛り上がったものの、翌日に思い返そうとすると、ところどころ記憶が飛んでいる。仕事の話をしたことはうっすら覚えているが、細かい内容は覚えていない。どうしてお酒を飲むと、記憶がまだらになってしまうのか。東京医科歯科大学脳統合機能研究センターの泰羅雅登先生は、記憶のメカニズムから説明してくれた。

「記憶はためておく期間によって2つに分類されます。ちょっとの間だけ記憶する短期記憶と、永続的にためておく長期記憶です。私たちが普段体験することはまず短期記憶として覚え、それから重要なものだけで選び出して、海馬という器官が働いて長期記憶に送ります」

お酒を飲むと、記憶を定着させるこのシステムがやられてしまう。

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酔うと「長期記憶」になりにくい

「まず働かなくなるのが、短期記憶をためておく前頭前野です。お酒に酔って何度も同じ話を繰り返す人がいますが、あれは前頭前野の働きが鈍くなって短期記憶の量が減り、少し前に自分で話したことを忘れてしまうからです。

さらにお酒によって海馬の働きも悪くなります。海馬が働かなくなると、いったんは短期記憶として覚えたものが長期記憶に送られません。そのため翌日になると、前夜に起きたことをきれいさっぱり忘れてしまうのです」

酔っ払うと記憶のシステムに一時的な障害が起きる。ただ、不思議なのは、記憶がなくなるほど飲んでも家にはたいていたどり着いているという点だ。