パソコンを前にグズグズ、ダラダラ。ついつい寝坊、深酒……。そんなグズの思考回路を、脳科学者が解明。積年の悪弊を取り除くヒントは、自分の頭の中にあった!

やらなくてはいけない仕事があるのに、飲み会の誘いがあると、ついそちらへ。読むべき本があるのについネットサーフィン……。誘惑に負けてしまうのは心が弱いせいなのか。いや、じつは脳は莫大なエネルギーを消費する臓器で、基本的に楽なものを選択するようにできているのだという。しかしその中でも男女差がある。中野信子先生の解説はこうだ。

「男性の脳は女性の脳に比べて、報酬系に関係するドーパミンの感受性が低めです。ドーパミンの感受性とはどういうものか。神経細胞には、放出されたドーパミンを受け取るための受容体があります。受容体は、いわばボタンのようなもの。少しの力で押して入るボタンなら、ドーパミンの量は少しで済み、感受性は高いといえます。ところが男性脳はボタンが固く、押すのにたくさんのドーパミンが必要になります。ドーパミンを多く必要とするということは、これまでの刺激から得られる報酬に満足しなくなって、より強い刺激を求めやすいということ。それゆえ男性脳のほうが快楽に弱く、飲み会などの楽しそうなイベントがあると自制が利きにくいのです」

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甘い誘惑に負けやすいのは女より男(PIXTA=写真)

決まった人がいるのに浮気をしたり、ギャンブルにハマってエスカレートしてしまうのも、どちらかいえば男性が目立つ。これは意思が弱いせいではなく、ドーパミンの感受性のせいなのだ。

ただ、誘惑に強い女性のほうも安心はできない。女性は誘惑ではなく不安に負けて、重要な仕事を後回しにする傾向があるという。

「女性は男性より、心を平穏にするセロトニンの量が少なく、損害回避傾向が高めです。損害回避傾向がよい方向に働くと、『後で困らないように前もって片づけよう』という計画性につながりますが、悪い方向に働くと、『もし失敗したらどうしよう』といった不安から逃れるために別のことを始めたりします。そのときは自分を納得させるため、何か意味ありげなタスクに取りかかることが多い。切羽詰まると急に部屋の掃除をしたりするのも、そのせいです」