危険ではないインプラントとは?
歯ぎしりは様々な要因から引き起こされる。遺伝的なものもあるが、仕事や日常生活で不安や過度のストレスを抱え込むことはよくない。飲酒や喫煙で引き起こされるケースもある。胃酸が食道に逆流して胸焼けなどが起こる逆流性食道炎も歯ぎしりを誘発しやすい。対症療法としては、寝ているときにマウスピース(保険適用で3000~5000円程度)を装着する治療がある。仕事や運転など集中しているときに、歯を噛みしめる癖がある人もいるが、日中のこういった習癖はやめるべきである。
歯を失った場合の処置として、注目を浴びているのがインプラントである。ブリッジや入れ歯よりも術後のQOL(生活の質)が高くなる。保険が適用されないので負担は大きくなり、手術には高い技術が必要であるが、私は天然歯の状態により近い機能・形態の回復が得られるので、可能な場合には第一選択としてお勧めしている。
また、すべてをインプラントにしなくても、入れ歯の固定にインプラントを用いる技術が開発され、QOL向上と負担軽減の両立も図られている。手術についても、個々の患者に合わせてシミュレーションを行い、手術を安全に行うガイダンスがつくシステムがある。
インプラント手術関連のトラブルがマスコミで取り上げられているが、高度な知識、技能と最新技術をもってすればリスクは最小限にできる。
インプラントであっても治療後のメンテナンスを怠ると、歯肉に炎症を起こしインプラントの土台の骨が侵されてしまうことがある。歯にモノが挟まっていたり、口臭を避ける意味でも、毎食後には歯磨きをすること、そして、歯ぎしりや食いしばりにも注意を払うことを強くお勧めしたい。
(吉田茂人=構成 小倉和徳=撮影)