日本の飲酒人口約6300万人。ほぼ毎日飲酒する人は1000万人以上とされ、お酒の消費量は有史以来最大といわれている。

そういう時代とあってか、アルコール依存症患者も増加しているとみられている。厚労省の患者調査では1万7100人だが、実際には約240万人と推計されている。

アルコール依存症には誰でもなる可能性がある。ある程度以上のアルコールをある期間以上飲めばいいのだ。

その量とは、1日につき日本酒に換算して3~4合以上を毎日10~15年以上続けた場合の飲酒量が目安になる。ただし、この量を飲んでも何の問題も起きない人もいるし、逆に、もっと早く依存症になってしまう人もいる。

その定義は、(1)飲酒のコントロール障害、(2)離脱症状、このどちらかがあるとアルコール依存症と診断される。

(1)の飲酒のコントロール障害とは、たとえば昼間からお酒を飲んでしまう、今日は飲まないと思っても飲んでしまう、果ては酔いつぶれるまで飲んでしまうなど、お酒に対するコントロールができない状態のことである。

(2)の離脱症状は、お酒を飲まないと手や体が震えたり、動悸がしたり、イライラする状態である。幻覚が表れるケースもある。

(1)も(2)もともに原因は、アルコールによって、脳に問題が起きるためといわれている。

長い歳月、脳の神経細胞がアルコールやアセトアルデヒド(アルコールが肝臓で分解されてできる物質)に侵され続けると神経細胞に複雑な変化が起こり、脳のアルコールに対する反応が変わってしまう。つまり、アルコールが一口でも体に入ると脳がしびれたような状態になり、本人の意思を超えて脳が「酒を! 次の酒をくれ!」と叫び、命令するようになってしまう。これがアルコール依存症の本質なのである。

やがて、体、精神、家庭、職場、社会などで問題を引き起こすようになる。

アルコール依存症の治療では、断酒が不可欠である。さらに、それを継続するために、(1)定期的カウンセリング、(2)抗酒薬の服用、(3)集団精神療法(自助グループを含む)が行われる。これが治療の3本柱である。

週に1度は診察を受け、肝機能が極端に悪くなければ抗酒薬のシアナマイド(液体)やノックビン(粉末)を使う。これらの薬は酒が嫌いになる薬ではなく、この薬を飲んだことで酒を飲まないように自制するためのものである。そして、集団精神療法。同病に悩む人々10人前後でミーティングが行われているので、毎日のように参加する。

すると、2~3週間で表情が明るくなり、酒なしで生きる知恵が生まれ、生き方に大きな変化が表れてくる。

治療しないままアルコール依存症が進むと、5年生存率は60%と、ガンに匹敵する死亡率。それを十分に認識して、早期に治療を始めてもらいたい。

 

食生活のワンポイント

アルコール依存症の人は、お酒を断つことからすべてが始まる。

ここでは、アルコール依存症を防ぐための食生活のワンポイントを紹介しよう。それには、以下の5点をしっかり実行してもらいたい。

(1)お酒は日が沈むまではけっして飲まない。
  (2)お酒の量は日本酒に換算して1日2合までを守る。
  (3)お酒を飲まない日、休肝日を週に2日はつくる。
  (4)料理を食べながらお酒を飲むようにする。
  (5)はしご酒は厳禁。

これをしっかり守れる意志の強い人はアルコール依存症になる心配はない。これがひとつでも守れない人は、(6)として、「お酒以外のストレス発散法をみつけ、それを行う」ようにしてほしい。