日本は米国より欧州に近い?

男性側の主張が認められた背景の1つとして注目されているのが、「忘れられる権利」だ。これは、個人データ管理者に消費者がデータの削除を求めることができる権利で、2012年にEUのデータ保護規則案で明文化された。日本の削除請求で使われる人格権侵害よりも広い概念だ。今年5月には、自身に関する記事の検索表示削除を求めたスペイン人男性に対して、EU司法裁判所が「忘れられる権利」を認め、グーグルに削除を命じている。

忘れられる権利をめぐっては地域で温度差がある。欧州では前述の判決を受けてグーグルに削除要請が殺到したが、アメリカでは表現の自由や知る権利が伝統的に重視され、忘れられる権利への関心は低い。では、日本はどうか。

「日本人のメンタリティーは欧州に近いと思う。グーグルのストリートビューを見ても、自分の家の画像を削除申請した人がいて、ところどころ見えなくなっています。プライバシーには敏感な国民性です」(神田弁護士)

日本でもグーグルに削除要請が殺到する日は遠くないだろう。グーグルは今回の仮処分に従う方針を表明したが、今後の対応に引き続き注目したい。

(図版作成=ライヴ・アート)
【関連記事】
「個人情報」は同意なしに使ってもいいのか
日本初! Google検索削除判決の裏で、法曹家の活躍
ネット上に事実無根の自分の悪評が。消去させるには
なぜ情報を守るのは面倒な手続きが必要なのか
ネットにうっかり会社の内部情報を書き込み