意識的な「からだの準備」

日本のプロ野球に続き、アメリカでは大リーグが開幕する。イチローは大リーグ3球団目となるマーリンズでメジャー15年目のシーズンを迎える。41歳ながら、怪我もなく、動きに衰えは見えない。まさに鉄人、まさに「無事是名馬也」である。

「からだの準備がすごいですよね」。先日、懇親会の際、ラグビー界の“レジェンド”、43歳の元日本代表、まだ現役の伊藤剛臣(釜石シーウェイブス)はそう漏らした。「ぼくがストレッチを必死でやりはじめたのは40を越えてから。でも彼は、それをずっとやっているわけですから」

イチローはプロ野球時代から、からだには細心の注意をはらってきた。からだに負担をかける筋力トレーニングはあまりせず、柔軟性や関節の可動範囲を広げるストレッチをしっかりやってきた。体調管理や意志の強さはもちろんだが、意識しながら身体能力を高め、神経と筋肉の機能を向上させてきた。

グラウンド入りしてからのルーティンワークは有名で、ストレッチも一つひとつ丁寧にやる。特別なことをやるのではない。股関節を柔らかくするマタ割り、肩甲骨の周りをしなやかにする肩のストレッチ……。並みの選手が1年365日続けられないことを、イチローは1日も欠かさずにやるのである。