“遂に”というべきか、“やっと”というべきか、10月から新型インフルエンザ(2009インフルエンザ)のワクチン接種が始まった。国内産ワクチンが2700万人分、輸入ワクチンが5000万人分、トータル7700万人分で、予定より約2000万人分増えている。
ただし、このワクチンが一斉に接種されるのではない。今年度分なので来年3月末までの接種となる。また、輸入ワクチンについては、国内産とワクチンが多少異なるので、国内で臨床試験(ヒトに対して接種して安全性を確認する試験)が行われ、それが接種され始めるのは12月以降と伝えられている。
少しずつのワクチン接種となるため、「ワクチン接種の優先順位」が決められている。最優先は(1)医療従事者、(2)妊婦、持病がある人、(3)1歳からの就学前の子ども、(4)1歳未満の子どもの両親。そして、次の段階の優先が「小・中・高校生」と「高齢者」である。
この中の2番目に入っている「持病がある人」の場合、厚労省によると以下のようになっている。「慢性呼吸器疾患」「慢性心疾患」「慢性腎疾患」「慢性肝疾患」「神経疾患・神経筋疾患」「血液疾患」「糖尿病」「疾患や治療に伴う免疫抑制状態」「小児科領域の慢性疾患」――。
新型インフルエンザの場合、感染力は強いものの、重症化については季節性インフルエンザと大きな違いはなく、特徴としては肺でのウイルスの増殖がきわめて顕著である。
それだけに慢性呼吸器疾患に、より注目が集まる。その慢性呼吸器疾患の対象として、厚労省は「気管支喘息」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」「気道分泌物の誤嚥リスク」のある人と枠を決めている。
この中のCOPDを見てみよう。COPDは慢性気管支炎、肺気腫と呼ばれていた疾患を合わせてWHO(世界保健機関)が統一したものである。
肺に慢性的に炎症が起きて気道が狭くなったり、肺の末端でブドウの房のような形をしてガス交換をしている、肺胞の壁が破壊されたりすることで気流制限が起こる病気である。代表的な症状は「息切れ」「咳」「痰」。風邪をひいたりすると急性増悪を起こし、呼吸不全や心不全といった生死にかかわる状態にも陥る。
COPDの患者数は厚労省発表の患者統計では約22万人。ところが、40歳以上の男女の大規模疫学調査では推計患者数530万人という数字がでた。“年のせい”と思い込んだり、医師からそういわれている人が多いのである。潜在患者がきわめて多いCOPDだけに、息切れ、咳、痰が慢性的にある人は、専門医を受診し、診断を受けるべきである。
厚労省は「持病がある人」を900万人と発表しているが、実際にはもっと多いだろう。持病があるのに診断されていない人は、新型インフルエンザに感染すると、重症化のリスクが高くなるので、何よりも自分自身の体の状態を正しく知るのが、最悪のシナリオを回避するために重要となるだろう。
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