留学も海外駐在もしていないのに、「なぜか英語ができる人」の工夫と知恵を大公開!
僕の立場はちょっと特殊です。英字紙の会社に勤めていて、大学は東京外大の英米語学科。英語はできて当たり前と思われるでしょうが、英字紙といっても、日常的に英語が飛び交う新聞編集の現場ではなく、基本的に日本語の書籍を出している出版部門の担当です。
また、外語大にしても、外国語を学ぶ学校というわけではなく、学生は言語学や国際関係などについて専攻します。僕自身は社会言語学のゼミで勉強しました。留学経験もありませんし、当社へ入社した時点では、およそ胸を張れる英語力の持ち主ではありませんでした。
TOEICとの出合いは比較的早く、大学3年のときに友人と一緒に受けてみたのが最初です。対策本も何もなく、「TOEFLと似ているようだから」とTOEFL用の参考書を読んで勉強しました。結果、850点には届きましたが、900点超えが何人もいるなか、仲間うちではごくふつうの成績でした。
そんな僕が英語力をぐっと伸ばすことができたのは、仕事で『ジャパンタイムズ社説集』の編集を任されたからです。半年に1回、その期間の社説から17~18本を選んで、日本語との対訳形式で出版します。いったんプロの翻訳家が日本語に訳した社説について、著者自身に内容を確かめるのですが、そのときによく英文解釈の微妙な違いを指摘されました。必要に迫られて、大量の英文を速読し、かつ精読もするという作業がとてもよい勉強になったのです。
仕事以外でも、生きた英語を身につけるため、大好きなミステリーなどを1~2カ月に1冊ほど原書で読んでいるほか、ポッドキャストで英米のニュース番組をダウンロードして寝床で聞くようにしています。耳で聞くだけだと、何と言っているのかわからないことがあります。そのときは、適当な紙にカタカナで、聞こえたままをなぐり書きしておきます。何日かたってジャパンタイムズを開くと、それらしい英単語が見つかることがあります。そんなときは、頭のなかでカタカナ語とその単語が1本の糸で結ばれ、「わかったぞ!」と言いたい気分になりますね。
2002年、仕事の都合から久しぶりにTOEICを受験することになりました。正直、自信はなかったのですが、社説集の編集やニュース英語の「聞き書き」で実力をつけていたのでしょう。まず985点を取り、その後数回の受験で満点の990点を達成できたのです。