2014年のコンビニ業界を振り返ると、セブン-イレブンの強さが際立った1年だった。業界2位のローソン、3位のファミリーマートと合わせてビッグ3と呼ばれるが、14年の業績を見ると、セブンの圧勝といえる。
今年も基本的にこの流れは変わらない。15年度の各社の新規出店数を見ると、セブンが約1700店、ローソンが約1000店、ファミマが約1100店となる見込みで、5年連続でセブンが最多出店。また新規出店に押されて既存店の売り上げは落ち込んでおり、セブン以外の各社は軒並み売り上げ、利益を落としている。企業間格差は広がる一方だ。
なぜそれほどまでにセブンが強いのか。第一に、早いうちから長期的な視点をもって経営戦略を立てていることが挙げられる。社会構造や人口構成の変化に合わせてサービスを変え、コンビニという業態を変革してきた。09年に社長就任した井阪隆一さんは「近くて便利」というわかりやすいコンセプトを掲げ、独身男性が中心だったコンビニの客層を女性や高齢者まで広げる戦略を進めた。プライベートブランドのセブンプレミアムや挽き立てコーヒーのセブンカフェ、最近ではドーナツなど、食品分野を中心に新商品を開発し、いまや食品市場では小売業全体でも圧倒的なトップシェアだ。
ローソンは差別化戦略で健康などを前面に出し、セブンができない分野で勝負している。方向性は正しいが、そちらに寄りすぎて、既存顧客が離れてしまっている面もある。ファミリーマートは独自色を見出すための取り組みの成果を発揮することが課題となっている。
私は、セブン1強体制は必ずしもコンビニ業界全体のためにはならないと考える。イノベーションは、適正な競争環境を源泉として生まれる。ローソン、ファミマにとって今年は正念場だが、頑張ってほしい。
(構成=衣谷 康)