幸せに長生きするにはどうすればいいか。看護師の木村まりさんは「高齢の親を心配するがゆえに、家族はあれやこれやと何かしてあげないと不安で、知らず知らずに本人のできる力を消してしまうことがある。しかし、100歳を超えてエネルギーに満ちあふれ輝いて見えたある患者さんは、自分ができることを続け、どんなに忙しくても自分らしく暮らしていた。自分の思い通りの人生を歩んでいこうという『意志を貫く力』は、すべての人にとって、暮らしの幸福度を握る鍵になる」という――。

※本稿は、木村まり『幸せに人生を終えた人から学んだこと』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

入院生活でもいきいきとしていた100歳超えの患者

毎日忙しく生活をしている方は、いきいきとしていて活発で、エネルギーに満ちあふれ、輝いて見えます。100歳を超えて入院してきた吉江さんもそんな輝きを感じる方でした。

サツマイモを発掘する農家
写真=iStock.com/okugawa
※写真はイメージです

吉江さんはお腹の痛みを感じるようになり、かかりつけのお医者様から紹介されて検査入院となった方でした。入院しても落ち着いていて「別に大したことはないんだけどね、ちょっと医者に行ったらこうなった」と、笑っていました。

検査の結果、腹痛の原因は胆管炎で内視鏡治療を行うことになりました。治療は順調に進み、吉江さんは問題なく回復し、1週間程度で退院が決まりました。

吉江さんは、かなりの高齢にもかかわらず自宅で一人暮らしをしていました。認知症もなく、杖なしで歩けるほど足腰もしっかりしていましたし、入院中も看護師に頼ることなく身の回りのことはすべて自分でしていました。

吉江さんの年齢を知って私も驚いたほど、若々しく見える方だったのです。