日本にフォーカスした販売戦略
――それだけ日本市場のポテンシャルは高いということですね。
アジアでの売上高は中国、韓国、インド、香港、日本の順です。また、世界で日本は6位ですが、今年中にはトップ5に入ることは間違いありません。なぜ、それだけの確信があるかといいますと、日本だけにフォーカスした戦略を立てているからです。いま、力を入れているのが顧客層の拡大。そのために幅広いカテゴリーを展開していきたいと考えています。
具体的には、従来のバッグ、リュックである「サムソナイトレッド」に加え、当社傘下のアウトドアバッグブランド「グレゴリー・マウンテン・プロダクツ」のバックパックを、日本およびアジア向け商品として展開していきます。バッグのマーケットは、よりカジュアルなものに移行してきました。そこで、私どもはフランスのブランドを買収し、女性向けのファッションバッグのシェアを高めることにしました。
こうした販売戦略を進めていくために重要なのがeコマースです。現在は、中国、韓国、アメリカ、ヨーロッパにおけるオンラインによる販売額が非常に伸びています。当社としましても、eコマースのプラットホームに積極的に投資をすることによって、14~20年までの間にアジアでの売上高を2倍に拡大していく計画です。
――日本で今後成長していくのは、どのような顧客層か。
既存のユーザーよりも若い世代だと考えています。その際、ライフステージに合わせた商品提案はとても大切です。まず、ジュニア向けとして「アメリカンツーリスター」からウォルト・ディズニーのコレクションを提供しました。小さい頃は、それを使ってもらい、学生時代にはバックパックを愛用してほしい。そんな人たちが社会人になったら、ビジネスバッグとして「ハートマン」や「ブラックレーベル」を買ってもらおうということです。そして、旅行に行くときは、当社の多様なブランドからラゲッジを選ぶのであれば、こんな嬉しいことはありません。
そしていま、手がけようとしているのが「ユニコーンプロジェクト」。昨年は午年でした。これまでのサムソナイトが、ただの馬だとすると、それを光り輝く伝説の一角獣に進化させていく取り組みです。そこでは、デザインのイノベーションを起こし、よりスタイリッシュで、ユニークで、トレンディなアイテムを生み出していきたいと考えているところです。
そんな商品を市場に提案していくのには、やはり若々しいマーケティングが求められるわけです。そして顧客が期待に胸を躍らせて足を運んでくれるような、斬新なショップのコンセプトも開発しなければなりません。それを成し遂げるために、私がいつも社員に強調しているキーワードは、パッション、エンジョイ、ポジティブシンキング、スピード、そして実行です。
1994~1996年 CHANEL 韓国セールスマーケティング。
1996~1999年 COSA LIEBERMANN 韓国地域セールスマネージャー。
1999~2005年 PRADA 韓国シニアセールス&マーケティングマネージャー。
2005~2013年 サムソナイト韓国ディレクター。
2013~2014年 サムソナイトアジアバイスプレジデント。
2014年3月 サムソナイトアジアパシフィックアンドミドルイーストプレジデント着任。