歴史的に嫁探しは親の役割だった

──ネットの発達などで、男女が出会う機会が増えているにもかかわらず、結婚しない人が増えているのはなぜなのか。
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日本は伝統的に直系家族類型。生活様式が核家族化しても思考パターンは変わらない

エマニュエル・トッドの家族類型学では、日本は「直系家族類型」に分類されます。親は子の結婚相手を探し、長子(基本は長男)夫婦と同居する。次・三男や娘は長子の“控え”で、結婚したら家を出る。土地を分割せず、人口をむやみに増やさない知恵であり、韓国やドイツも同じタイプです。

一方、フランス、イギリス、アメリカは「核家族類型」です。子は成人すると家を出て、よその土地で結婚相手を得て家族をつくる。日本では、欧米の思想が流入した明治期や、アメリカの文化に影響を受けた戦後、“家”に縛られない次・三男や女子を中心に、核家族的な振る舞いや恋愛結婚が増えました。そこでは男は口説き、女は口説かれたりもしたのです。

しかし、うわべの生活様式が変わっても、根底の思考様式はそう簡単には変わりません。今は社会が豊かになって一人っ子が増えたので、必然的に直系家族の行動様式に戻っているのです。

つまり、家族類型学的に見て、日本の男には、自分で女性を口説いてセックスに持ち込む能力は備わっていない。結婚するには親という“強制的な出会い”が不可欠なのに、親が子の結婚に干渉しなくなったので、子は家に居続け、引きこもりやオタクになるのです。

男は口説きたくても口説くに至らず、女は口説かれたくても口説いてくれる男がいない。この状況が進めば、口説けないオタク男は全滅。女は科学の力で単性生殖するか、少数の口説ける男が複数の女性との間に子供をつくり、女性上位のアノミー社会が到来するでしょう(笑)。