5歳の子供も写真で「有能な人」を嗅ぎ分ける
前出・ハーテンステイン博士によれば、さらに驚くべき実験があるという。
「スイス人の5歳から13歳の子供たちに、フランスの国会議員選挙の候補者の写真を同じように見せました。そして“一緒に船旅に出る船長として頼りになりそうなのはどちら?”と訊いたのです。子供たちが選んだ人物はやはり71%が実際に選挙で当選していました」
子供が外国人の候補者を見ても、「有能だ」と感じる何らかの知覚が存在しているというわけだ。
さらに米国大統領選挙の様々なデータを検討してみると……。
・1960年から2000年までの選挙では、「低音の声」の候補が100%勝利している
・1796年から2012年までの選挙では、「背の高い方」の候補が29勝17敗
という結果が残っている。
ことほどさように、「外見の力」は選挙結果に大きな意味を持つことがわかってきている。
だが、「有能そう」な印象が、当選後の「実際の有能さ」と一致するかどうかはなんとも言えない。現状、そうした関係を実証できた実験はないという。
わかっているのは、政治で成功するにはまず“その役目にふさわしく見えること”が重要だということなのだ。
実はハーテンステイン博士は、人間のわずかな外見の手がかりからいかに将来を見抜くか、というテーマを研究しており、上記の選挙についての将来予測も『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』(文藝春秋刊:http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163901572)という彼の新刊で紹介されている。
発売以来様々なメディアで話題を呼んでいる同書には、上記の「選挙で勝つ候補者の顔」のみならず、「仕事で稼ぐ顔」「プレゼンが成功するスタイル」など、ビジネス関連のテーマも掲載されている。
いずれも外国での事例とはいえ、わずかな外見の手がかり(顔写真など)を統計的な切り口で検証した「科学的研究」ゆえ、「おお、確かにそうかもしれない」と合点がいく内容も多い。
また、「犯罪で殺されやすい顔」「離婚しやすい表情」といった内容は、クライアントや得意先などとの気の利いた雑談に使えるかもしれない。