高収入の人ほど「特別支出」がコントロール不能に
「今月は家族で旅行に行った時のカード払いが引き落とされたので、赤字なんです」
「今月は敬老の日と子どもの誕生日のプレゼントが重なって支出が多かったので、貯蓄ができなかったんです」
「今月から車のローンの返済が始まったので、貯蓄ができなくて」
家計相談で家計の状況をお伺いすると、よく返ってくるのが上記のような答えだ。
「家計をちゃんとしたい!」と思う方がFP相談にいらっしゃるので、家計相談では貯蓄ができない理由(できなかった言い訳?)を、自ら話してくれる方が多い。
そして、20代、30代、40代、50代……と年代が上がれば上がるほど貯蓄ができなくなった、と悩む家庭には1つの共通点がある。
それは「特別支出がコントロールできない」ことだ。
シングルや年収が少ない場合は、「毎月の給料で家計をなんとかしなきゃ!」という意識が働くが、結婚し、子どもが産まれ、教育費も増え、年収が上がり、ボーナスが増え……となってくると、次のような事態に陥りがち。
つまり、所得が上がると、ルーズになるのだ。
「今月は○○○の特別支出があったから、赤字でも仕方がない」
夫婦ともにこんな気持ちが毎月続くと、貯蓄力は低下の一途となる。
「特別支出」とは、例えば……
・年末年始や夏休みなどのレジャー費
・固定資産税・車などの税金
・年払いの保険料
・進級入学時の費用や塾の冬期講習・夏期講習など教育費
・2年に1回の車検
・車や家具の買い替え費用
・冠婚葬祭費
などが該当する。
確かに、家族が増えればこうした出費はどんな家にもついてまわるが、私が最も懸念するのは、家計の赤字の原因が、「たまたま」発生した特別支出だと思いこんでいる人が多いということだ。
だが、冷静に考えると、これらの特別支出は毎年発生しているし、子どもの進学や車検などもあらかじめ予想できる支出だ。
つまり、特別支出は偶発的な「臨時支出」ではなく、必然的な「予定支出」なのである。