数ある保険商品の中には、加入者を騙して手数料をぼったくるようなものもある。ヤバイ商品をつかまない「目」を養おう。
きれいな名前を疑え
多くの保険には愛称と正式名称がある。私たちがよく目にするのは愛称のほうだ。例えば「かがやき、つづく」は愛称で、正式名称は「目標設定特則付一般勘定移行型変額終身保険」。「収穫名人」は「5年ごと利差配当付一時払変額個人年金保険」。こうした愛称は包装紙のようなもので、包装紙がきれいだと、中身もよさそうに見えてくる。それに正式名称だけでは、呪文のように長く難しいので覚えられない。
では愛称は、正式名の意味を正しく伝えるように名付けられているのかというとそうでもなく、むしろ漠然としたものが多い。会社の立場では、フィルターが何枚もかかっていたほうが、中身が見えにくくて都合がいいのだろう。
保険コンサルタントの後田亨氏は、「保険は、名称に惑わされず、自力で他人に契約内容を説明できるのかという基準で選ぶといい」と説く。
「私は講演で、保険の名称について、こんな例えで説明します。『私は上着を着て皆さんの前に立っていますが、私が本当にいい男だったら、Tシャツ一枚で勝負してますよ』って。『なぜ上着を着てるかわかりますか。貧相な骨格だからですよ』と」(後田氏)
だが、そんなふうに名前をきれいに飾り立てているのは、私たちにとってありがたいことかもしれない。なぜなら、理解できない正式名称や、あいまいな愛称がついた商品とは付き合わないという基準で選別ができるからだ。
「愛称は会社の立場で読み替えると、ブラックジョークみたいでおもしろいですよ。契約を取ることで会社が輝き続けるとか、お客様の利益を手数料という形で会社が収穫する名人というように」(後田氏)
きれいな名前に惑わされず、誰もが自分で内容を説明できるものといえば、「死んだら保険金が支払われる」という死亡保険くらいだろうか。だが保険は、そのくらいシンプルなもので十分なのだ。
「小さいときに親や先生に『知らないオジサンについてってはいけません』と習うじゃないですか。あれと一緒で、よく知らない保険についていってはいけません」(後田氏)