そのとき、貢献した株がいくつかある。ひとつが森下仁丹だ。仁丹製造のコーティング技術を利用して、継ぎ目のないシームレスカプセルを開発。白アリ駆除剤、レアメタル回収、医療分野にも乗り出し、業績を復活させた。マイナーなところでは、長野県上田市のシーティーエス。工事現場などの仮設事務所にオフィス機器をレンタルする会社で、公共投資が伸びれば必然的に伸びるという読みで購入した。建築系コンサルやダスキン代理店が本業のナックも、読みが的中した会社だ。宅配水のサービスを展開しており、東日本大震災の後、新規顧客が増えると予想。購入時の株価1000円が半年で2350円まで伸びた。
こうした銘柄をwww9945さんはどのように見つけるのか。会社四季報や投資家のブログやツイッターから拾った情報も活用するが、ヒントは生活の中にいくつも転がっているという。
「たとえば繁華街やショッピングセンターを歩いて、床が傷んでいるチェーン店は来客が多いと予想できるし、仕事で『あの会社はケチだ』と噂を聞く企業は、逆に言えばコスト管理がきびしいということ。どちらも企業としては優良ですよね。そうやってアンテナに引っかかった企業の業績や財務をチェックして、投資の参考にすればいいんです」
現在、www9945さんは平日の9時から5時まで勤務。朝の通勤、昼休み、退社後のほとんどの時間を株に費やす。情報収集は家ではPCを使うが、移動中はスマホではなくガラケーを利用。会社と個人兼用のため、自分で負担しなくていいからという理由だ。今でも5万円台の公団住宅に住み、散財した記憶といえば、実家のリフォームに1200万を提供したことぐらいだという。
株で儲けたご褒美で腕時計や車を買わないのか尋ねると、www9945さんは首を振り、「そういうことには興味が湧かない。自分へのご褒美は、新興国の怪しい企業の株を買うことです」と嬉しそうに答えた。
「もちろん儲かるにこしたことはないんですが、どうなるかわからないところに突っ込んでいく自分が好きなんです。胡散臭い銘柄を見つけたときは、儲けたときと同じぐらい嬉しい。これはマニアの感覚なんでしょうねえ」