力を引き出した「プロファイ」の会

<strong>奥 正之</strong>●おく・まさゆき 1944年、長野県生まれ。68年京都大学法学部卒業、住友銀行入行。91年シカゴ支店長、92年国際業務部長、94年取締役、98年常務。2001年三井住友銀行発足により同行専務。05年頭取。08年よりパナソニック取締役も務める。
三井住友銀行頭取 奥 正之●おく・まさゆき 1944年、長野県生まれ。68年京都大学法学部卒業、住友銀行入行。91年シカゴ支店長、92年国際業務部長、94年取締役、98年常務。2001年三井住友銀行発足により同行専務。05年頭取。08年よりパナソニック取締役も務める。

会社でも役所でも、部下に「これをやっておけ」と言うだけで、「なぜ、それをやっておくのか」をきちんと説明しない人が少なくない。若いころ、自分にも、そんな上司がいた。「あとは、自分で考えろ」というわけだろうが、乱暴だ。グローバル化が進み、複雑な要素が入り組んで、しかも変化が速くなると、何をやらねばならないかを丁寧に伝えることは、重要だ。

常々、人間には3つのタイプがある、と思っている。誰にも平等に訪れるチャンスに気づかない人、気づいても力が足りずに生かせない人、普段から力を蓄えておきチャンスを生かす人。でも、どのタイプにしても、わかりやすく説明し、学び吸収していく機会を提供してあげれば、多くの場合、隠れていた力を引き出せる。上司の責務は、部下たちの育成が第一。それには、力を発揮しやすい環境を整えてあげることだ。

1992年10月、シカゴ支店長から帰国し、国際業務部長になる。47歳。プロジェクトファイナンス(プロファイ)と呼ぶ、海外の大型開発案件への融資を扱う部門の責任者だ。ほどなく、課長に「プロファイの専門家を育てよう」と持ちかけて、勉強会を立ち上げさせる。毎日、昼休みに30~40分、課長ら先輩が順番に講師を務め、カリフォルニア州の風力・太陽光発電やインドネシアの液化天然ガス(LNG)などのプロジェクトを例に、資金の流れやリスク分析などを解きほどく。「教室」には、部長室を開放した。