「ファーストクラスのお客様でわたしが参考にしたい、真似したいと思った方々は、ビジネスでトップに上りつめた、本物のエリート。彼らの習慣や身につけている“社会的スキル”はどんな業界、どんな時代でも通用するものでした」
日系、外資系航空会社のCA(キャビンアテンダント)として、ファーストクラスで数多くのVIP客へのサービスを担当してきた美月あきこ氏によると、機内で彼らが見せる素顔には、共通の「極上の気遣い」が隠されているという。
「それらはとてもシンプルなものです。その超一流の習慣をコツコツと真似て実践した結果、わたし自身も起業できたのです」
おもしろいことに、ファーストクラスの常連でもある、「超一流」と呼ばれる人たちに共通する特徴として、いちばんに挙がったのが、「ペンとメモ」だ。
「ファーストクラスをご利用になるお客様に“ペンを貸して”とおっしゃる方はひとりもいませんでした」
ご存じのように、国際線では入国書類に記入する必要がある。カードが配られ、いざ記入しようとしたとき、ペンが手元にない、またはペンを持ち合わせていないことに気づき、焦った覚えのある読者も多いのではないだろうか。そんな人のために、CAは必ず複数のペンを用意しているのだそうだ。
「ファーストクラスのお客様がご搭乗の際、コートやジャケットをお預かりするのですが、みなさん必ずペンを取り出され、ワイシャツの胸ポケットに移し替えるのです。あとでペンをお探しの様子の方もいらっしゃいましたが、CAが用意しているペンではなく、『コートのポケットに入っているから、取ってきてくれるかな?』と、あくまでもご自分の使い慣れたものを使用することにこだわります」
エコノミーやビジネスクラスでは、CAの胸ポケットにペンを見つけるやいなや、無言でいきなり胸元に手を伸ばす不躾なお客も少なくないのだという。良識ある読者の中には、こんなセクハラまがいの行為に出る人はいないだろうが……。