苦戦を強いられる大企業を尻目に、年率2割、3割増しで急成長するベンチャー企業がある。ベンチャー企業の経営者はどのような戦略、戦術をとっているのか。それらを検証していくことで、新しい儲けの道筋がきっと見えてくるはずだ。

MR君が囲い込む国内の医師の7割

「ネットを活用した“究極の囲い込み戦略”という点で最も成功しているベンチャー企業がエムスリーでしょう。同社は製薬会社の医薬情報担当者(MR)に代わって、『MR君』というサイトを通して会員の医師に医薬品などの医療情報を提供するサービスを行っています。その医師の会員数は約22万人を数え、全国の医師の7割に達しているのです。リアルのMRは接待規制を受けて医師にアプローチしづらくなっていて、製薬会社もMR君への依存度を高めざるをえません」

こう語るのは有望なベンチャー企業の発掘・紹介を日々行っているラジオNIKKEIの和島英樹記者である。