全体の比率は、ほぼ6対4で「働きかけ派」が多い。高学歴になるにつれ「働きかけ派」の比率が高まるかと思われがちだが、大学院卒と大学卒では逆転現象が。私の経験上、超高学歴者は「ある程度までレールを敷いたらあとは本人次第」と考える傾向がある。大学卒の一部、大学院卒ではより多くが、こういった考え方だ。指導現場での実態としても、一橋大や早稲田大レベルまでは「やらせる勉強」でも何とか合格まで導けるが、東大・京大・国公立大医学部レベルになると、そうはいかない。本人自身が「合格を取りにいく」必要がある。

とはいえ全体としては、やはり高学歴者に「働きかけ派」が多く見られる。考えてみればこれは当然の帰結だろう。親自身が学ぶことでトクをした経験を積んできたのだ。だから子供にも、学ぶことの楽しさ、意味を、迷いなく教える。チャンスを与えようとする。

家庭の経済力と教育方針の関係はどうか。ここに絶対的な事実がある。「収入がある親には教育費を減らす理由がない」ということだ。また、高収入の医師やエリートビジネスパーソンはたしかに多忙だが、立場上、時間を捻出する力も持ち合わせており、調整して子供との時間をつくる。逆に、年収が低い家庭ほど子供のことを考える余裕がなく、結果として子供との時間も少なくなる傾向にある。長引く不況によって、「働きかけ派」でありたい思いとは裏腹に、「待つ派」に甘んじざるを得ない家庭が増加しているとも聞く。

しかし、子供への働きかけにおいて、時間と金銭の制約は、知恵と熱意によって乗り越えられるということは知っておきたい。