「大手にいて何が面白いんだ!」
そんななかで知人の紹介で会ったのが南だったんですよ。渋谷の「桜丘カフェ」というお店を指定されて、同じような業界だし、ちょっと話も聞いてみたいとライトな気分で行ったのですが、ちょっと衝撃を受けました。
彼は今でこそ少し落ち着きましたが、当時は事業を立ち上げたばかりで、私の話なんてまったく聞かずに自分の話をするんですよ。人材業界を変えるんだという事業の話だけではなく、人生をどれだけ輝かせるか、そんな大手の会社にいてオマエは何が面白いんだ、とことある度に挟み込んでくるので半分説教される気分でした。人によってはもう近づくのはやめとこうと思うかもしれせんね(笑)。
ただ、私はさっき言ったような思いを抱えるようになっていたので、彼の話というか熱さを目の前にして、だいぶ危ない気もするけれど何かありそうな気がしたんです。ここに来たら自分の人生がちょっと面白くなるかもしれない、って。同じ人材業界の企業だから、自分の経験を活かしながら徐々に領域を広げられるかもしれないし、谷を飛び越えるならいまかな、と。
それからの3年間というのは、超圧縮された時間だったように感じています。そのなかで、「仲間」というこの会社が理念としている言葉への理解も実感として深まったように思います。
仕事における「最高の仲間と歴史を創ろう」という概念は、事業を立ち上げたり、大きな仕掛けをして何かを変えたりすることが一人の力ではできないからこそ、必要になるものなんです。違う能力を持つ人たちがお互いに補い合い、合わさって初めて事業というのは動き出す。大切なのは遠いゴールで結びつくことで、そうすれば人を蹴落とそうとするようなことなく切磋琢磨を続けられる。それが私にとっての「仲間」です。
私は今後、世の中にとっての課題の解決につながるようなサービスを、そうした仲間と一緒に立ち上げ続けていきたいと思っているんです。サービスを継続して大きくしていくことも大事ですが、私は立ち上げるという体験そのものが好きだから。
事業の立ち上げってめちゃくちゃ苦しい時期もあるし、そのまま撤退することもあるけれど、それだけに喜怒哀楽が2倍3倍にもなるんです。そういう経験をともにした仲間と久しぶりに会うと、昔話に花が咲いてすごく盛り上がる。おいしいお酒が飲める。だから、自分が年をとった時に「俺たちあのときこうだったよな」と盛り上がれる仲間を山ほどつくりたい。完全に自己満足の話ですけれどね。