だったら電気を使わないシャワー式トイレを作ればいい。成田氏は06年から1年半の月日をかけて、専門家の協力を得ながら非電圧式の型を考案するまでにこぎつけた。後は工場に作ってもらうだけだ。だが、ここからが難産だった。
「当初、大手工場に金型製作を依頼しましたが難しいと断られた。ノズルの細かいパーツがあまりにも多かったからです。ようやく4カ所目で協力工場を見つけましたが、試作品ができるまで1年近くかかりました。さらに、テストをした後に商品化したにもかかわらず、初期ロットに不備が見つかり、回収を余儀なくされた。それからは改良、改良の毎日ですね。壊れる前に点検に行くのがウチのモットー。クレームがあれば、どんなに遠いエリアでもメンテナンスに出かけ、1台でもトラブルがあれば改良しています。儲けよりも、いまは改良やメンテを頻繁に行い、ノウハウを蓄積することが先決。おかげで部品はどんどんシンプルになった。使用環境に合った改良部品もずいぶん蓄積できました」
パーツ改良により故障は減った。商品の信頼性が向上し、国内、海外での販売も順調だ。ここ数年は、前年比200%前後で販売台数を伸ばし、市場占有率も大手メーカーを凌いでいる。当面の目標は、海外市場も含めて100万台の販売だ。どんなトイレにも簡単に取り付け可能な新製品「Tokyo sukkiri」を投入した今年度は前年比300%を目指している。