この覚悟がセレブ妻なのだといつも思う。今までインタビューした妻たちも「リスクを取る」覚悟があった。「夫が失敗しても、一緒にリヤカー引いてでもやっていける」と言い切る人もいた。経営者の妻たるもの、リスクを取る覚悟は必須。どんなにたおやかな外見でも、それが彼女たちの共通項だ。

基盤にあるのは「夫への深い尊敬と愛情」。最初は尊敬が勝っていたという。

大学生の頃、街でサロンモデル(美容院のヘアスタイルモデル)としてスカウトされたのが初めての出会いだった。最初は「オーナーとモデル」。夫は15歳も年上で、雑誌で頻繁に顔を見るような人気美容師として活躍していた。

サロンモデルを3年務めた後告白され、2年付き合ってプロポーズされた。

「真剣に仕事をしている姿を最初は尊敬し、それから愛情に変わっていったんです。プロポーズされたとき、『お店のスタッフは家族同然。ちょっと若いけれど、相撲部屋の女将さんのような存在になってほしい』と言われました。でも逆にそれが嬉しかった。大好きなみんなと家族の一員になれるから」

結婚当時はエステ業界で働いていたが、仕事が終わる時間が遅く、彼を6、7時間待たせてしまうこともあった。

「今はとりあえず俺のサポートをしてほしい」

頼み込まれ、半年悩んだ末仕事を辞めた。今は朝から晩まで彼が優先だ。

とにかく忙しい彼の健康には気を使う。朝から野菜スープ、野菜のグリルなど野菜中心のメニュー。

「納豆とか、健康に気を使った食事、それも野菜だけは無農薬を取り寄せて、それを毎朝出すようにしています」

結婚前、まったく料理ができなかったミハルさん。肉好きの彼に初めて出した料理が、唐揚げにハンバーグ。でも、さりげなく言われた。

「君の料理はすごくおいしかったんだけれど、やっぱり体のことも考えてほしい。お肉は好きでもバランスよく野菜も必要でしょう。料理も仕事もストーリーが大事なんだよ」

それから料理本を買い込み、独学で学び、知り合いのシェフに料理を習いと猛勉強。今では月1回スタッフを家に招いて、お店のような料理が出せるようになった。