日本の自動車マーケットで好調なセールスを記録している輸入車。なかでもプレミアムセグメントは高所得層からの人気が根強く、国産車に比べて価格帯がかなり上であるにもかかわらず、販売記録を更新中だ。そのプレミアムセグメントモデルのひとつ、BMWの中型モデル「3シリーズ」をテストドライブしてみた。

BMW「3シリーズ」をテストドライブ

3シリーズの初代モデルが登場したのは40年近く前の1975年。当時、BMWはメルセデス・ベンツより明らかに格下のブランドで、初代3シリーズも高速性能に優れたコンパクトモデルというコンセプトで作られており、ボディタイプも2ドアのみ。現地価格はそれほど高価ではなかった。

2012年にデビューした現行モデルは初代から数えて6代目。歴代モデル最大となる全長4625mm、全幅1800mmと、堂々たる欧州Dセグメント(セダンモデルでおおむね全長4.5~4.8m)サイズのボディを持ち、販売価格もきわめて高い。歴代3シリーズの成長は、BMWが長年の年月を経てメルセデス・ベンツと肩を並べるプレミアムブランドへと成長を果たすまでの道程そのものといえる。

さて、その6代目3シリーズ、BMWの対日輸出モデルとしては久々にディーゼルエンジンを搭載するグレードがラインナップされたのが大きな特徴である。

80年代に輸入された第1世代ディーゼルは燃料代の節約という意味合いが突出して強く、騒音や振動を気にせず乗るものだった。それに対して現行モデルの2リットル直列4気筒ターボディーゼルは、欧州で主流となっているアップデートなテクノロジーという位置づけである。

最高出力は同じ3シリーズの2リットルガソリンターボと同数値の184馬力と強力。変速機は8速ATと、これまた最新のプレミアムモデルらしいスペックだ。また、軽合金技術を駆使することで、エンジンがきわめて軽量に作られているのも特徴で、装備を合わせた場合、ガソリン車に対する車両増加分は10kgにすぎない。JC08モード燃費はコンパクトカー並みの19.4kmである。

BMWは日本市場においては長年、ガソリン車のスポーティイメージを重視したマーケティングを行ってきたため、ディーゼル投入は恐る恐るというところがあったが、いざ売りだしてみると燃費性能や動力性能がポジティブに評価され、あっという間に販売のメインストリームとなった。現在、セダンの半数、ステーションワゴンでは圧倒多数がディーゼルであるという。

試乗車は「320d M Sport」。4ドアセダンボディに走行性能を高めたMスポーツサスペンション、前225mm、後255mmというワイドタイヤ、ステアリングに指先で自在に変速できるパドルシフトなどを装備するスポーツモデルである。