九州電力のいわゆる「やらせメール」問題を受けて、経産省は各電力会社に調査を指示した。この調査の結果、経産省側が電力会社に対して原発説明会への動員、発言要請を行っていた事実が明らかになり、原子力発電所をめぐる「やらせ」の問題が大きな社会的関心事となっている。しかし、そのような「やらせ」と言われる行為がなぜ悪いのか、どこに問題があるのか、という点について十分な議論が行われているとは言い難い。
この問題を考える際に無視することができないのは、05年10月末に表面化した国主催のタウンミーティングをめぐる「やらせ問題」である。このタウンミーティングは、政府と国民との対話の場として小泉政権の一つの目玉として実施された。問題となったのは主催者の国の側からあらかじめ発言者が決められ、発言要請が行われていたこだとだ。この問題は、当時、大きな社会的問題となり、内閣府に設置されたタウンミーティング調査委員会に、私もコンプライアンス問題に関する有識者委員として関わった。
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