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男性vs女性でこんなに違う

現役のうちにまとまった貯金をつくることは絶対に必要だが、一方では「元気なうちにお金を使わなかった後悔」もあるらしい。「生真面目すぎた。子供たちを見ていると、貯蓄より思い出づくりと、人生を楽しんでいるのがうらやましい」(57歳・女性)という意見もある。そのあたりのバランスをうまくとりながら老後資金を確保するには、どのようにすればいいのだろうか。

北見さんは、(1)お金がどれだけあるか把握すること、(2)社会保障や税金などについて知識を持つこと、(3)老後生活をシミュレーションすること、を3つの柱として挙げる。

まず把握することの重要性について。

「定年前と後では、いろいろなことが変わってきます。この大きな山を乗り越えるには、家にお金がどれだけあるかを把握することがとても重要」

住宅ローンの残高がいくらになっているのか、生命保険などの金融商品がどれくらいあるのかなどを棚卸ししておくことだ。

次に、社会保障や税金などについてだが、たとえばサラリーマンであれば、退職後の健康保険加入には3つの選択肢があることを知っているだろうか。

在職していた会社の健康保険に引き続き入る「任意継続」か、国民健康保険に加入するのか、それとも子供の扶養家族になるのか。それぞれ保険料も違えば、加入の条件も違う。

また退職金を年金でもらうときと、一時金でもらうときとでは税金の額が変わる。メリットとデメリットを整理しておけば、後悔のない選択ができるだろう。

子供にお金をかけすぎない

最後に、数字に落とし込んでシミュレーションをしてみることで、漠然と描いていた老後の生活イメージがにわかに現実的になる。そのときに大事なのが、終末から逆算して考えること。

「若いときは今の自分から将来に向けて計画を立ててきましたが、老後の生活を考えるときはその逆。後ろから現在に向けて考えてください」