売上高10兆円へ3度目の挑戦

津賀社長は事業方針説明会の中で、2014年度を「成長戦略を仕込む重要な年」と位置づけ、創業100周年に当たる2018年度に売上高10兆円を目指す目標を掲げた。5年間で売上高を2兆6000億円、3割以上増やす計算だ。

その内訳は、家電事業が1.8兆円から2兆円、住宅関連事業が1.3兆円から2兆円、自動車関連事業が1.1兆円から2兆円、BtoBソリューション事業が1.8兆円から2.5兆円、そしてデバイス事業が1.4兆円から1.5兆円となっている。

実は同社にとって、売上高10兆円は因縁のある目標なのだ。というのも、09年度までの3カ年計画、12年度までの3カ年計画と過去2回10兆円の目標を掲げ、その都度はじき返されてきたからだ。これまでの最高だった売上高は06年度の9兆1081億円で、文字通り、今回が3回目の挑戦となる。

それだけに津賀社長も「今回はなんとしても達成したい」と話し、「これまで10兆円に届かなかった一つの理由は、伸びている事業と縮む事業を混在させて計画してきたことがあった。今回は何をやってはいけないかが見えている。それに世の中の成長に合わせたところにリソースをシフトしている」と、その実現に自信を見せる。

また、苦戦する家電事業についても、白物家電と家庭用AV機器の開発・販売体制を一元化。「さまざまな知恵を集めて事業を見直し、一元化したからこそできる商品を企画していく」と強調し、14年度から革新的な商品を次々投入していくという。

それらの商品がヒットして初めてパナソニックが復活したと言えるわけで、就任3年目を迎える津賀社長にとって、これからが経営手腕を問われる大事な局面だ。

(宇佐美雅浩=撮影)
【関連記事】
パナソニックが決断したBtoB重視への戦略転換
「日の丸家電」を復活させるキーマンはどんな人間か
どこまでも続く「ソニーの一人負け」
ソニー、パナ、シャープ 増収増益のウソ
“下請け化”するシャープ、Jブランドの地位低下か