「スマートグリッド」など目指すべきところはあるが技術的に要求されるレベルが高く、実現までの道筋が見えてこない。都市のシステムをまるまる変えられる力があるのは、東芝、日立、三菱重工などに絞られよう。
「スマートグリッドの核となる技術では、分散電源の発電用として燃料電池が注目されています。燃料電池には、これまで危険な水素をどう取り扱うかという難問がありましたが、千代田化工建設が有機溶剤に溶かして運ぶ技術を開発し、実現が近づきました」
最後の「健康・医療産業の拡充」では、ジェネリック医薬品や創薬ベンチャーなどが相場をにぎわせているが、鈴木氏は富士フイルムホールディングスを筆頭に挙げる。
「銀塩フィルムの衰退をデジカメでカバーするだけでなく『第二の創業』と位置づけ、会社の存在意義を大幅に変更しました。診断装置、がん治療薬、認知症治療薬など医療分野の成果が着実に表れています」
かつて家電製品の最大手だった米国のゼネラル・エレクトリック社は、いまや世界最大のコングロマリットに変貌を遂げている。同様に、かつて映像やゲームで隆盛を極めたソニーも、復権の目があるとすれば、医療用機器に注力する道ではないかというのが鈴木氏の読みだ。
企業が永く存続するには、環境の変化に応じ、しなやかに変身できる「レジリエンス」(復元力・弾力)が求められる。アベノミクスは産業構造の新陳代謝を促す。着々と成長の礎を築いている企業を見出したい。
岡崎・鈴木パートナーズ代表 鈴木一之
1983年、大和証券入社。87年から一貫して株式トレードの職務に従事。インフォストックスドットコムリサーチ部チーフアナリスト、フィスコシニアフェローを経て現職。テレビ、ラジオ等で活躍。
1983年、大和証券入社。87年から一貫して株式トレードの職務に従事。インフォストックスドットコムリサーチ部チーフアナリスト、フィスコシニアフェローを経て現職。テレビ、ラジオ等で活躍。
(和田佳久=撮影)