勉強がタイムを競うゲーム感覚に
私がストップウオッチを愛用するようになったのは、まだ小学校に行く前のこと。うちにはストップウオッチがはさみやのりなどの文房具と同様に身近にありました。「よーい、スタート!」。こう声をかけて、ボタンを押してくれるのは母でした。
知育遊びのプリントから始まり、パズル、足し算・引き算の百ます計算……。これらの時間を計ります。目標タイムを設けて机に向かいます。「5分以内に終わらなかったら、デザートはおあずけよ!」「昨日よりちょっと早くなったね! よかったね!」。母はそう言って、当時の私の大好物、ココナツミルク入りタピオカなどをご褒美に、ゲーム感覚で私に勉強習慣をつけてくれました。
母としては、まだ幼くて落ち着いて椅子に座っていられなかった当時の私を集中させる手段として、この遊びを思いついたようです。
ストップウオッチの力が活用できるのは、何も勉強に限りません。スポーツにも使えます。小学4年のとき、市内のマラソン大会に学校代表として出場したかった私は、ある日マラソンの練習にストップウオッチを使ってみたくなりました。先生に「貸してください!」と頼み、ストップウオッチを首にかけて猛特訓しました。
少しずつ、マラソンのタイムが縮まっていく快感! ゲームのレベルが上がっていくような達成感があったことを今も覚えています。最終的に、学校代表として出場を果たせたときの喜びは大きいものでした。ストップウオッチを見ながら走ったおかげで、時間をリアルタイムで感じられ、底力を発揮できたのです。