ヤフーのトップページの一例。ページの両端などサイト全体を使った広告商品は新体制になってから導入された。

ヤフーは、この1年半で、変化に挑戦する「爆速」の企業へと変わった。その一方で、次々に生み出されるスマートフォンアプリには似た内容のものが少なくない。またトップページでは、画面全体を使った派手な広告展開を行うようになった。かつてヤフーは「ネット界のNHK」と揶揄されるほど保守的だったが、そうした「安心・安全」のイメージから離れた動きが目に付くようになった。

村上は、社内で似たサービスが乱立する状態について、「むしろ歓迎したい」と話す。

「似たサービス同士で、互いに戦ったり握手したりすればいい。カオス状態のほうが新しいものは生まれやすい」

社員証の裏側には新体制であらたに定義した行動規範「ヤフーバリュー」が書かれている。

スマートフォンという世界の秩序はまだ定まっていない。かつてのヤフーの保守的な戦略は、パソコンのインターネットで絶対的トップだったからこそ採れた「強者の戦略」だった。スマートフォンが普及するにつれ、その座は脅かされつつある。ヤフーは、秩序よりカオスを求める新しいビジネスを貪欲に模索する必要に迫られている。副社長の川邊健太郎はいう。

「媒体ではなく個人がコンテンツを判断するという時代になりつつある。今後、メディアリテラシーは革命的に変わっていくだろう。パソコン時代のハイエンドなユーザーに合わせたままでは、スマホ時代でローエンドなユーザーが増えたときに、突然シェアを奪われてしまう。時代の変化は捕捉できないほど速い。メディアリテラシーの大きな変容に対応していきたい」

2013年度のヤフーの目標は、「世の中や世界を『!』(びっくり)させるサービスを作る」だった。それはたとえば「LINE」のようなスマートフォン時代のリテラシーに刺さるサービスをつくることだ。だが、まだ達成できてはいない。ヤフーは日本最大のIT企業だ。その動向は、日本のIT市場そのものを大きく揺るがす。ヤフーには「201X年に営業利益2倍にする」という目標もある。はたして、利益を追いながら、世の中をびっくりさせるサービスをつくり出せるのだろうか。川邊はいう。

「利益の追求だけに留まるつもりはありません。被災地復興や少子高齢化、過疎化といった国家レベルの課題を、ネットやITの力で解決していきたい。ヤフーがあって便利だったとか、ヤフーのおかげで世の中のことを知ることができたとか、あってよかったと思ってもらえる存在になりたい」

(文中敬称略)

(遠藤素子、岡田有花(記者会見)=撮影)
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