「あなたは」ではなく「私は」で伝える
家族や友人、同僚など、関係が近い相手ほど、指摘や苦言は言い出しにくいものです。機嫌を損ねられたり、逆ギレされたりするのではないか。そう考えて、「結局、自分が我慢すればいいか」と飲み込んでいませんか。
でも、きちんと話さなければ相手の行動は変わらず、不満は自分の内に蓄積してしまいます。大事なのは、関係を保ちながら、改善してほしいことを伝える工夫です。
例えば、夫がトイレの使用後に蓋を開け放しにするクセがあり、妻はそれを直してほしいと思っているとしましょう。
「あなた、いつもトイレの蓋を開け放しにしているよね。イヤなんだけど。ちゃんと閉めてよ」
こうした詰問調の言い方は、相手の行動をあからさまに非難しています。言われた夫が感情的に反応して言い返したり、無視したりして、夫婦喧嘩の火種になることもあるでしょう。
そこで活用したいのが、「私」を主語にして伝える「I構文」です。「あなたはこうしている」と相手を責める代わりに、「私はこう感じる」と、自分の気持ちや希望を伝えます。
トイレの例なら、こう言い換えてみます。
「私は蓋が閉まっているほうが清潔な感じがして、気持ちよく使えるんだよね」
夫は直接非難されたわけではないので受け入れやすく、蓋を閉めてほしいという要望も遠回しに伝わります。
一度で変わらなくても、言い方を変えて伝える
ただし、I構文なら必ず伝わるわけではありません。婉曲な表現なので、嫌みに聞こえる場合もあれば、意外と響かないこともあります。そこで肝心なのが、ダメ出しを一度で済ませないことです。
欠点や弱点は、本人が無自覚なケースも少なくありません。トイレの例でも、「蓋を閉めなければならない」という意識が、夫にはそもそも備わっていないのです。すぐに効果が表れなくても、気長に意思表示を続ける必要があります。
最初はソフトな言い回しを使い、伝わらなければ表現を変えてみる。「蓋が閉めてあると掃除しやすい」と、別の角度から伝えるのも一つの方法です。それでも伝わらなければ、最終的には直接、行動の改善を求めてもいいでしょう。ただし、相手の機嫌が悪いときは時間を置きます。
相手の行動を強制的に変えることはできません。本人が欠点に気づき、改善するメリットを知って、「変わりたい」と思うことが必要なのです。
言いづらいことを伝える場面は、ダメ出しだけではありません。頼み事を断るときには、関係を損ねずに「NO」を伝える順番があり、部下のミスを指摘するときには、怒りをぶつけず、本人が改善点を考えられる伝え方があります。
全文では、断るときの「4つのステップ」と、部下を萎縮させずに改善へ導くフィードバックの方法を、具体例とともに解説しています。
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