モラル違反だが違法ではない
自民党総裁選は10月4日に投開票が行われ、高市早苗氏が新総裁に選出された。1回目の投票では決着がつかず、決選投票で、本命と見られていた小泉進次郎農水相を破っての当選だった。
女性で初めての総裁、そして、初めての内閣総理大臣として、内政・外交に力を発揮してもらいたい。日本国憲法第14条で「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と定められてから約80年。ようやく女性の総理大臣が誕生しそうだ。世界的に多様性が叫ばれる時代の象徴といえるかもしれない。
しかし、高市総裁の就任直後に四半世紀にわたって連立のパートナーだった公明党が離脱。政権の枠組みが完全に白紙となり、総理大臣指名選挙のための国会日程も不透明な状況に陥った。本来なら、党員に幅広く支持された総裁を先頭に、解散総選挙に打って出て、衆議院で過半数を回復したいところだが、先行きは不透明だ。正直にいえば、私もまったく先が読めない。これほど動きの読めない政局は、私の長い永田町人生でも初めてだ。
永田町ではいま、各党の激烈な駆け引きが行われているが、過半数はもたなくとも比較第一党である自民党の総裁が総理大臣に就任するのが筋である。ご祝儀相場というのもあるかもしれないが、高市総裁の就任以来、株高が続いており、経済的にも高市総理の登場が歓迎されているように思う。
今回の総裁選の結果は、高市総裁が党員票で圧倒的な強さを見せたことが大きいが、新聞やテレビが「本命」として扱っていた進次郎氏の敵失によるところも大きい。
総裁選の終盤、週刊文春が報じた「ステマ」騒動である。ステマとは、ステルスマーケティングの略で、消費者に宣伝・広告であることを隠して行うマーケティング活動のことだ。2023年10月から景品表示法の規制の対象となっている。問題となった記事では、小泉選対の総務・広報担当だった牧島かれん元デジタル相が、動画配信サービス「ニコニコ動画」に小泉氏を称賛するコメントの投稿を要請するメールを陣営関係者に送っていた行為がステマに当たるのではと指摘された。
自民党総裁選は公職選挙法の枠外のため、普通に応援を要請しただけなら、これほど問題にならなかっただろう。応援要請メールには、具体的なやらせコメントの文案が記載されており、中には他の候補者への誹謗中傷と受け取られる内容も含まれていた。報道されていた24の文案を紹介するが、このコメント文案に進次郎陣営の問題があらわれているように感じる。
・ようやく真打ち登場!
・これは本命候補でしょ!
・総裁まちがいなし
・あの石破さんを説得できたのスゴい
・なんか顔つき変わった⁉
・去年より渋みが増したか
・泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね
・困った時のピンチヒッター感ある
・期待感しかないでしょ
・野党への切り返しはするどかったぞ
・コメ大臣は賛否両論だけど、スピード感はあったな
・単純にいい人そうなんだよな〜
・確かに若手の面倒見良さそう
・むやみに敵を作るタイプじゃない
・頼む 自民党を立て直してくれ
・「保守政党 自民党の神髄」出ました
・ビジネスエセ保守に負けるな
・奇をてらわず、実直に仕事してくれる人がいい
・もう一度自民党に期待させてくれ
・谷垣総裁みたいに「みんなでやろうぜ!」
・チーム進次郎は仲間が多いからなあ
・前回は議員票が一番多かったもんな
・側で見てる人は分かってるんだよ
・やっぱり仲間がいないと政策は進まないよ
そもそも、ステマをしたこと自体が言語道断だが、並んだコメントをよく見てみると、人柄や陣営の雰囲気を強調するものが多い。やはり、候補者本人の実績や経験をアピールするには材料が少なかったのだろう。現実問題として進次郎氏は日本のリーダーとなるにはまだ勉強不足だ。本人の将来のためにも今回は勝てなくてよかったと思う。党内で期待され、数多くの議員票を固めながら、選挙戦が開始されて一般への露出が増えると、党員票が伸びなくなる。それは、討論会等での言動から、党員たちが「まだ早い」という印象をもったことにほかならない。
ステマコメントに見る政治家の危うさ
ステマ騒動への対処もまずかった。事実関係をすぐに認めたことはよかったと思うが、進次郎氏自身の「私自身も知らなかったとはいえ申し訳ない」という謝罪が担当者の牧島氏一人に責任を押し付けたと批判された。
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