給与所得控除は上限が245万円に
2013年度税制改正は、富裕層や高額所得者にとって厳しい、つまり税負担が重くなるものとなった。なかでも注目すべきは、所得税の改正だろう。その所得税だが、最高税率が40%から45%に引き上げられる。具体的には、現行制度では課税所得が1800万円超の場合、所得税の税率は一律40%だ。これが15年以降は、新たに課税所得金額4000万円超という区分が設けられ、ここに課される税率は45%となる。住民税の所得に対する税率は一律10%であるため、所得税の税率と個人住民税の税率を単純に足すと55%になる計算だ。
「税率が55%」というと、稼いだ金額の半分以上を税金で持っていかれると思うかもしれない。だが、それは大きな誤解だ。年収や年商といった「収入金額」から、必要経費や勤め人にとっての必要経費ともいうべき給与所得控除を差し引いたものが「所得」となる。
この所得から、社会保険料控除や生命保険料控除、配偶者控除などの所得控除を差し引いたものが「課税所得金額」だ。ここに前述の税率が課せられる。
では、今回の税制改正で、高額所得者の所得税負担はどれくらい増えるのか。給与年収5000万円の45歳男性(扶養家族は42歳の専業主婦、21歳と19歳の子ども、生命保険料控除10万円、地震保険料控除5万円、社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除あわせて238万円とする)で、課税所得金額を4300万円として試算すると、12年の所得税額は約1440万円だが、15年には約1455万円と15万円ほど増加することになる。
ただし、ここでも考慮すべきポイントがある。従来は、給与収入に応じて逓増的に控除が増加するしくみだった給与所得控除についても、12年度の税制改正で、給与収入が1500万円を超える場合に245万円の上限が設けられた。その結果、課税所得金額が増えることになるのだ。この改正は、所得税は13年から、個人住民税は14年から適用される。