世界中で証明「手書きアウトプット」の全能性
手書きが脳の活性化に重要な効果を示すことは、脳科学や心理学の研究で実証されています。
前述したプリンストン大学のミューラーとUCLAのオッペンハイマーの研究はその1つですが、ここではそのほかの研究報告をいくつかご紹介しましょう。
脳神経内科医の長谷川嘉哉氏は、著書『ノートを書くだけで脳がみるみる蘇る』(宝島社)の中で、手書きが脳の記憶定着を助けると説いています。この本は、手書き特有のビジュアル要素が、記憶の定着に有効であるとも紹介しています。
米国テキサス大学のジェームズ・ペネベイカーは、1986年の論文で、個人的な感情や体験を手書きで書くことが、心理的および身体的な健康によい影響を与えると報告しています。
さらにペネベイカーは、複数の失業者を対象に、毎日20分ずつ5日間にわたって自分の気持ちを書かせるという実験をおこないました。
8カ月後に再就職できた人の割合を調査すると、手書きをしていた群は何もしなかった群と比較して、再就職率がはるかに高かったことが明らかになったのです。
またペネベイカーは、もう1つ興味深い調査をおこなっています。自分にとって、もっとも意味のあった個人的体験を15分間書くということを数日間おこなった学生は、体調がよくなり学業成績も上がったというのです。
手書きは記憶の形成と学習の強化につながる
このような研究結果は、世界各国で出ています。PCのタイピングなどと比べても、手書きのほうが学習効果を高めることがわかっています。
ノルウェー科学技術大学のオードリー・ファン・デル・メール教授のグループは、2020年、手書きはタイピングよりも脳の多くの領域を活性化し、記憶の形成と学習の強化につながることを実証しました。
この研究では、手書きはより複雑な脳のつながりを生み出し、それが新しい情報のエンコードと学習パフォーマンスの向上に不可欠であることがわかりました。
さらに、手書きの教育的利点を強調しており、手書きでメモを書く生徒はタイピングする生徒よりも、記憶の保持と理解がすぐれている可能性が高いことを示唆しています。
じつは、私もそのことを実感しています。
私は、セミナーや商品企画の打ち合わせのアイデアを思いついたら、どんどん手書きしていきます。そうすると、アイデアが次々と浮かんできて、手が止まらなくなることさえあります。
また、手帳に手書きしたスケジュールを忘れたことがありません。
これは「手帳を見直す」という習慣が身についていることも影響していますが、手帳に書いた記憶とともに日程を忘れることがないのです。
アイデアにしろスケジュールにしろ、手帳に手書きすることでちゃんと「自分事」になっている感覚が生まれます。それが大切なのです。
こうした手書きの効果は、私の単なる体験談ではなくて、脳科学的に証明されているのですね。おそらく、これをお読みの方も体験したことが多々あるでしょう。
いくらデジタル技術が急速に進化しようと、人間の脳がそれにうまく対応できるわけではないのです。
世界中の研究機関でこれだけ証明されているのですから、手書きのアウトプットに勝るものはないということを、より理解したほうがいいでしょう。
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