百貨店に行列、万博でも売り上げ首位

2025年に開催された大阪・関西万博では、大阪の特産品を集めた「JAPANマルシェ・大阪産(もん)名品の会」ブースに共同出店した。反響はどうでしたかと伺うと、「最初は地獄でした」と興津さん。

「初日は500個も売れたのに、翌日はがくんと下がって100個。残り400個は廃棄です。そこから、夏場まで1日200個くらいでした」

売り上げが盛り返したのは、万博も終盤に入ってから。1日800〜1000個売れるようになってひと息ついたそう。筆者が万博初期に初めて「とん蝶」を買ったときは、棚にずらりと並んでいた。ところが、会期終盤になると、いつ行っても売り切れ。SNS等で拡散され、多くの人に広まっていったのだ。

片手でも食べやすい(画像は、ゆかりとん蝶)
筆者撮影
片手でも食べやすい(画像は、ゆかりとん蝶)

売場では、「おいしいのよこれ」と、販売員さながら、お客さんにすすめる地元客もいたそう。さすが大阪のおばちゃん、なんとも関西らしい。

最終的には、「りくろーおじさんの店」のチーズケーキや、「喜八洲総本舗」のみたらし団子といった人気商品を抑えて、期間中2000万円というブース内トップの売り上げを叩き出した。

大阪・関西万博では、「とん蝶(白蒸し)」のほか、「七味とん蝶」や「ゆかりとん蝶」も販売した
筆者撮影
大阪・関西万博では、「とん蝶(白蒸し)」のほか、「七味とん蝶」や「ゆかりとん蝶」も販売した

取材後、平日のお昼すぎに「阪神梅田本店」1階へ行ってみると、「とん蝶」コーナーには行列ができていた。

「これはいまだけの限定品。テレビにも出たんですよ」と、販売員が声をかけてくる。

地元客と思われる人が、次から次へと手に取っていく。種類によってはすでに売り切れだったり、残り少なかったりと、地域に根づいた人気ぶりが伝わってきた。

「阪神梅田本店」1階の「とん蝶」コーナー
写真提供=絹笠
「阪神梅田本店」1階の「とん蝶」コーナー

「とん蝶」にははやりの土産品のような派手さはないが、一度食べるとその滋味深い味わいを家族や友人にもすすめたくなる不思議な魅力がある。後編では、自社工場での製造工程とともに、長年愛される大阪名物になった理由を紐解く。

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