太陽→月で「変化」「交代」を描いている
まず左側の要素から考えてみましょう。左側では、テメレール号が蒸気船に引かれているところが描かれています。単にテメレール号が描かれるのではなく、テメレール号の前にくるように蒸気船を描いています。ここから伝わるのは、蒸気船とテメレール号の対比です。帆船が後ろにいき、蒸気船が前にくることで、帆船が過去のものとなり、蒸気船に置きかえられていくことが視覚的に表現されているのです。
このことを踏まえると、右側の夕日も意味がわかってきます。夕日が見えるということは、日が落ちる時間帯であるということです。つまり太陽の支配する世界から月の支配する闇の世界へと変わる境目の時間帯であることが、今まで昇っていた太陽が落ちていく変化の時間帯であることが視覚的に表現されているのです。
このことから、ターナーが二つの主役のどちらも「変化」「交代」を匂わせて描いていることがわかります。蒸気船がなくテメレール号だけが描かれていれば変化の意味合いはあまり出てこないですし、夕焼けではなく昼の時間帯であれば、同じく変化の意味合いは出ないでしょう。
このように、ターナーは時代の「変化」「交代」をテーマに描きたかったのだろうということが、この絵画の主役の選び方、そして描き方から伝わってくるのです。
制作者のターナーが「変化」「交代」といったテーマを伝えようとしていたことが主役の選び方からわかる
さて、どうでしょうか。もう一度この絵画を見てください。この絵画から受ける印象は、本稿を読む前と全く同じでしょうか?
おそらく変わっているのではないでしょうか。
画家が工夫して画面を構成して「変化」「交代」といったメッセージをこめていることが感じられるようになったのではないでしょうか。
そんな風に、画家の意図や絵画に凝らされた工夫がわかったのは、専門家の解説を一方的に聞いたからではありません。ルールを基に「ポイント」を使って一緒に読み解いていったから、わかったのです。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


