美術館ではどのようにして絵画を鑑賞すればいいのか。美術史ソムリエの井上響さんは「まずは絵画から『主役』を見つけてほしい。主役の描かれ方を分析できれば、作者が作品を通じて伝えたいメッセージが浮かび上がってくる」という――。

※本稿は、井上響『名画の秘密 読むだけで天才たちの思考が見抜けるようになってしまう本』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

絵画の絶対ルール「主役が存在する」

では早速、あなたの鑑賞のレベルが一つ上がる、そんな絵画のルールについてお話ししていきます。

実は押さえていただきたいルールは、一つだけです。

「絵画には主役が存在する」

主役とは何か。それは、絵画の中で画家が一番強調している人やモノです。

主役が存在しない、もしくは非常にわかりにくい絵画も存在するのですが、いわゆる名画と呼ばれるものには、この主役が基本的にきちんと存在しています。

「絵画には主役が存在する」という絵画を読み解くすべての基礎を意識して見ると、例えば図表1の絵画の見方がこのように変わります。

【図表1】ミケランジェロ《アダムの創造》1511年頃、システィーナ礼拝堂、バチカン(バチカン市国)
ミケランジェロ《アダムの創造》1511年頃、システィーナ礼拝堂、バチカン(バチカン市国)

あれ、主役を意識して見てみたけど、こんな風には見えなかったんだけど。そう思われた方、いらっしゃると思います。すみません、今の段階ではそう思った方が大半だと思います。

「絵画には主役が存在する」ということを前提に「主役がどう描かれているのか」ということを分析できるようになると、先ほど見たように鑑賞できるようになります。

では、「主役がどう描かれているのか」はどうしたら分析できるようになるのでしょうか。その鍵は、いくつかの鑑賞のポイントを押さえることにあります。

ここから先は、その具体的なポイントを解説していきます。

ただし、ここで一点注意があります。決して忘れないでいただきたいのが「絵画には主役が存在する」というルールです。ここから先の全ての基礎になりますので、しっかりと意識しながら読んでいただけると幸いです。