「モナ・リザ」は何を訴えかけているのか

さて、まずは図表2の作品を見てください。

【図表2】レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》 1503-1519年、ルーヴル美術館、パリ(フランス)
レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》1503‐1519年、ルーヴル美術館、パリ(フランス)

おそらく一度はこの絵画を見たことがある人がほとんどだと思います。

レオナルド・ダ・ヴィンチによる作品《モナ・リザ》です。

《モナ・リザ》は、16世紀に裕福な商人の妻であるリザ・デル・ジョコンドをモデルに制作された、世界で最も有名な作品の一つです。

この作品の特徴は、この絵画に使われているスフマートという技法です。輪郭線をぼやかして描くことで、独特の柔らかさが表現されています。ダ・ヴィンチはこの技法の名手でした。

さて、この作品を使って、鑑賞のポイントを確認してみます。

先ほど、「絵画には主役が存在する」という絵画を読み解くためのルールについてお話ししました。

では、まず、この絵画の主役を見つけてみることからやってみましょう。

大半の読者の方はおそらく何も説明しなくても、パッと見てわかると思います。この絵画の主役は真ん中に描かれている女性つまりジョコンダ夫人です。

サイズや配置にも作者の意図がある

ではなぜ彼女が主役だと、あなたはわかったのでしょうか。

整理してみると、二つのポイントがあります。

一つ目は中央に描かれていることです。そして、二つ目の理由は、彼女が大きく描かれていることです。

【図表2-1】レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》1503-1519年、ルーヴル美術館、パリ(フランス)

この二つが合わさって、中心に描かれている女性、つまりジョコンダ夫人がこの絵画の主役であると、私たちは判別できるのです。

ここで大切なポイントについて少し補足します。目に見える通りに、つまりまるで写真のように描かれている作品の場合、画家による加工や変更がなく、目に見える通りに描かれたと思いがちですが、それは違います。

例えば、あなたが画家だとして、モデルにニキビがあった時に、あなたはそれをそっくりそのまま描くでしょうか。描くかもしれませんが、モデルから自分を美人に見えるように描いてくれと言われていたらどうでしょうか。おそらくニキビを描きませんよね。

絵画も同じです。どんなに本物そっくりだとしても、画家は自由に目に見えるままに描いているのではありません。

サイズや配置についても同じです。このほうが要望に応えられるから、伝えたいことが伝えられるから、こうしようと画家が選択した結果なのです。

ダ・ヴィンチは《モナ・リザ》においてジョコンダ夫人を大きく中心に描くことで、彼女の姿を一番に伝えようとしました。それは生気に溢れた彼女の姿が真っ先に目に入るように描かれていることからわかります。つまり美しい彼女の姿を素晴らしい迫真性を持って描き出すことがこの絵画の目的であると、描き方から判別することができるのです。