【理由3】
●現代ビジネスマン――肩書よりも実力を重視する
●官兵衛――武より知で勝負した

官兵衛は確かに軍師でした。軍師というと、「人の陰に隠れて、汚れ仕事をやる人」というイメージがあります。ところが官兵衛はそうではなかった。権謀術数に長けているというより、根は正直で、人を裏切るわけでもない、正攻法で人を説得し味方につけていくのを得意としていました。衆を頼まず、武に頼らず、基本的に度胸のある男でもあったと思います。

第1話の冒頭がまさに説得シーンでした。小田原城に立てこもった北条氏のところにたった1人で出かけていき、「これ以上戦っても無駄だから降伏しませんか。命を粗末にせず、降伏してわれわれの味方になったほうが得でしょう」と理路整然と説くわけです。実際、北条氏は彼の言葉どおりに降伏するんですけれども、後に、官兵衛に「あなたのおかげで戦わずにすんだ」と、贈り物までして感謝の意を伝えています。

軍師としての官兵衛のすごいところは徹底した現場主義を貫いたことだと思います。何かが起こったら、真っ先に現場に行き、状況を把握する。誰よりも早く、物事の本質を見極めようとする。結果、得られる結論はほかの人が後で考える結論とたいして違わない場合も多いのですが、とにかく一番先に答えに辿り着こうとする。そのスピード感が彼の真骨頂だと思います。こんなところも現代の「できるビジネスマン」を彷彿させます。

【理由4】
●現代ビジネスマン――大企業にいてもリストラ、給与減の可能性あり
●官兵衛――不遇に耐えて、そこから学んだ

若い頃に知り合い、兄貴分のように慕っていた信長の配下・荒木村重が、小さな失策をきっかけに信長に謀反を起こした。主君・小寺政職がそれに同調した際、官兵衛は村重が籠城する有岡城に単身乗り込み、翻意を促そうとします。

ところが村重はその助言を聞き入れません。しかも、「官兵衛がそちらに行くので殺してくれ」という小寺政職の手紙まで預かっていたのです。官兵衛はたちまち捕らえられ、城内の牢に幽閉されてしまいました。