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2050年、日本は人類未踏の超少子高齢化社会へ

さらに、借金返済に追われる日本に追い打ちをかけるのが世界に類をみない超少子高齢化だ。ニッセイ基礎研究所がまとめた『20年後の日本』によれば、2030年には男性の平均寿命は86歳に、女性は91歳になる。図は50年の人口構成予測だが、日本の高齢化が突出していることは一目瞭然である。

このような社会が訪れたとき、当然、今の公的年金制度や健康保険などの社会保障は維持できなくなる。小黒氏によると、現在は高齢者1人を勤労者約3人で支えているが、50年には高齢者1人を勤労者1人が支える計算になる。

2年後からの消費税増税が決まっているが、小黒氏やニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏は口を揃えて、「焼け石に水」だと言う。日本の社会保障の改善は望めないどころか、このままではさらに悪化する。その結果、「もっとも厳しい老後に直面するのは今の30代後半から40代前半。私も30代後半なので他人事ではありません」と小黒氏は厳しい表情で語る。

なぜ、40歳前後の世代がもっとも厳しいのか。これは子の教育費や親の介護費など、彼らの支出のピーク期に、団塊世代が後期高齢者へ向かっていくことに起因する。国の社会保障負担はますます増え、「抜本的な社会保障改革を行わない限り、最悪、破綻のシナリオも十分ありうる」(小黒氏)。子育てや住宅ローンが終わりかけている50代以上や仮に財政破綻をしてもマネープランを再構築できる20代に比べ、前途は暗い。小黒氏は言う。

「結局、最悪のシナリオを想定して人生をつくっていくしかない、というのが結論です」

社会保障のシナリオだけでなく、これから家計に降りかかるあらゆる想定をしておくことが重要だ。親が予想より長生きしたら……、子供が就職できずに一生ニートになったら……、がんになって休職せざるをえなくなったら……。次回からは、これらを一つずつ点検し、最悪のシナリオへの備えを考える。

小黒一正
一橋大学経済研究所世代間問題研究機構准教授。大蔵省(現財務省)入省後、財務総合政策研究所主任研究官
などを経て2010年より現職。著書に『2020年、日本が破綻する日』など。
畠中雅子
ファイナンシャル・プランナー、生活経済ジャーナリスト。『お金のきほん』『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』など著書多数。
矢嶋康次
ニッセイ基礎研究所経済調査部門チーフエコノミスト。2012年より現職。上智大学経済学部の非常勤講師も務める。著書に『図解 20年後の日本』(一部執筆)など。
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