おそるべき白眉同期生たち

12月11日、バッタ博士は白眉センター採用内定証を受け取った。(撮影・編集部)

12月11日、京都大学・芝蘭(しらん)会館山内ホール。今年亡くなった任天堂会長・山内溥の名が冠された部屋だ。平成25年度白眉センター内定式。会場前方の左2列に内定者たちの席があった。今回の内定者は20名(男性15名、女性5名)。7名が外国籍。准教授は5名で、バッタ博士と同じ助教となった者は15名。現所属先を見れば、バッタ博士を含め10名が海外の大学もしくは研究機関に籍を置いている。その中にはハーバード、コーネル、ロンドンといった大学名も並ぶ。それらすべてが、バッタ博士の同期生となるのだ。

右端の列は京大の教授たちが座っている。後方の席にラフな格好で座っているのは、すでに白眉研究員となった先輩たちだ。当日は20名の内定者のうち8名が欠席。「出席、マストだと思ってたんですけど」とバッタ博士は言っていた。内定式は静かに始まり、粛々と内定者の名前が呼び上げられていく。

「前野浩太郎さん」

黒いスーツ姿の博士が壇上に向かう。

「内定証。前野浩太郎殿。京都大学白眉センターへの採用を内定する。平成25年12月11日、京都大学白眉センター長、田中耕司」

博士は内定証を受け取り、センター長に一度、そして身体の向きを変えると会場のすべての人々に向けてもう一度、深く頭を下げた。晴れてバッタ博士は白眉五期生となった。

内定式終了後、隣接の稲盛ホールで内定者たちの研究計画発表会が行われた。発表は5分間、質疑応答が8分間。いずれも専門性の高い研究であるにも関わらず、活発な質問が続く。白眉内定者全20名のうち、文系は9名、理系は11名。理系同士の専門的な質疑応答もあれば、文系理系のジャンルを超えた質問も飛びかう。すでに500人の関係者にインタビューした日本戦後史の研究者、スイスの研究機関でタコの身体機能を研究する者、幻の契丹文字のデータベース化に取り組む者、太陽電池の発電効率を現在の30%から70%に引き上げる方法を探る者……。今までこちらが何度も見てきたバッタ博士のプレゼンと同レベルで聴衆を引き込み、笑いまで取ってしまうプレゼン巧者も少なくない。白眉、恐るべし。

そして、バッタ博士の順番が回ってきた。さあ、どうする、バッタ博士。